第542話

バスの時間になりファミレスから出てバス停まで歩く。


風間が夜道は危ないからバス停まで一緒に行くと言ってきた。


それには亜紀も賛成して、バス停まで一緒に歩いてくれている。



「亜紀は元気そうだな。扱かれているのに」



「そうね。いろんな写真を送ってくるの。定番の巨大バーガーとか。それを真理亜に見せると反応いいのよ。凄く食べたいって言ってた。あっちとこっちではサイズ感が違うから現地に行って食べたいって。だからって、本場のバーガーを食べさせてあげるとか言わないでよね」



「食べ物で釣っても来ないからな。あっちからはアレコレ欲しいから並べって言ってくるが。こっちから言うとダメだ」



「真理亜は賢いの。あなたと違って」



「何言ってんだよ。俺も賢いだろ」



「その賢さとは違う。もっとお勉強するべきね。さっきの女もそうだけど。捨て駒にしないほうがいい。距離感って大事でしょ?本命がいること話してないでしょ?アホね」



言っていることとやっていることが合ってない。


それを真理亜は分かっているから断るのだろう。


バス停に着いて、風間は帰るのかと思っていたがバスが来るまで一緒にいるらしい。


妙に気遣いがあるな。


何かお願い事をされそうだ。



「お前、こんな通学辛くないのか?」



「別に」



「遅くなったら家に帰る時間も遅くなるだろ」



「当たり前のこと言わないでよ。家から通うためにはしょうがないでしょ」



「運転手はクビか?」



「何もないのに迎えなんてない。今は平和なんだから」



「平和か………………まぁ、平和だな」



「今は大事な時期だからこのまま何事もなく平和がいい」



バスは時間通りにやってきて乗り込む。


風間はなぜかバスが出発するまでバス停に立っていた。


一体何がしたかったのか………………


何かを言いたいが、言うのをやめたってことだろうけど。


様子見をしていたのか、自分で処理をしようとしたのか。


まぁ、私が考えたってしょうがないか。


家に帰るとホカホカのお風呂がすでに準備されていた。


私が帰る時間に湯沸かしをしてくれていたらしい。



「お母さんは?」



「う〜ん。いつもの」



あぁ、私たちが着る服を作っているのか。


仕事もあるのに大丈夫なのだろうか?


体力的にキツイと思うのに。



「今日は遅くまでお疲れさまだね」



「うん。でも、決まったから良かったよ。あとは試作品を作って完成させるだけ」



「そっか。そこが大変なところだよねぇ。遅くなるならマンションに泊まってもいいんだよ?こっちに帰って来るのも大変でしょ?」



「そうだけど。自分の家に帰って寝たい。荷物だって持って行くの大変だし」



「そっか。確かに着替えとか準備は面倒か。でも、あまり遅くなると危ないからマンションに泊まるんだよ」



マンションは海が使っているんだっけ?


海の動きがいつもどんな感じなのか分からないからなぁ。


光さんのお店で働いているのは分かるけど、あとはよく分からない。


大塚さんに会いに行っているのは気づいているけど。



「海ってあのマンションを使っていたはずだけど、今は使ってないの?」



「いや、寝泊まりはしてないけど使ってはいるよ」



「へ〜ぇ」



「凛に鍵を渡さないとね」



「ん」



お風呂に入るか。


んで、早く寝よう。


なんか、疲れてしまった。


自分の部屋に行って荷物を置く。


そして、着替えを持ってお風呂に向かった。


洗面脱衣室のドアの前にはなぜかケイが寝転んでいた。


なぜそんなところに寝転んでいるのか分からない。


まぁ、邪魔にはならないからいいけど。


ドアを開けるとケイはのっそりと起きてスルッと中に入ってきた。


あら?今日は甘えたい感じなのかしら。


そう思ったが、足拭きタオルの上に寝っ転がり尻尾を床にポンポンと叩きつける。


う〜ん、これは微妙な感じだな。


最近、たくさん構ってあげてなかったからなぁ。


ストレスも溜まってしまったかもしれない。


試作品作りに追われていたからなぁ。


今度、遊んであげるからね。

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