第609話

短大では文化祭、光さんのお店ではお祭りの話。


なんだか、イベントが多い時期だ。


夏から秋に掛けて多いな。



「でなぁ?嬢ちゃんにはフルーツをカットするのを手伝って欲しいんよ。接客は俺と大食い嬢ちゃんが担当するっけ。ええ?」



夏は夏祭りだ。


暑いから冷たい飲み物やアイスなどよく売れそうだ。


で、カラフルな飲み物だが映えを大切にすればもっと売れそう。


目の前に完成系があるのだが、前よりスッキリな見た目。


というか、綺麗系になっている。


前は昭和感が凄かったけど、フルーツがメインの見た目だ。



「それは別にいいけど、前と違った飲み物になってない?透明になっている」



赤とかオレンジだったのに、透明な炭酸水の中にフルーツを入れたらしい。


ゴロゴロと入ったフルーツはとても食べ応えある。



「大食い嬢ちゃんのご意見を反映したんよ。こっちの方が美味しいって」



「………………そう。あなたが良いなら別に」



海から打ち合わせがしたいと言われたので、光さんのお店に来てみれば3種類の飲み物が用意されており、全て祭りで提供するものだと言う。


フルーツは注文を受けてからカットすることにしたらしい。


提供に時間は掛かるがカットする担当と作る担当に分ければいいだろう、と。


大塚さんは飲み物を作る担当だ。



「段々と暑くなってきたから熱中症には気をつけろよ。出店は夕方からだが、夜でも暑いぞ。涼しい格好でやれ。クーラーボックスに冷たい飲み物を用意するから水分補給はしっかりしろよ。海には何度も言ったが、各々気をつけろ」



光さんは、売り上げより熱中症を気にしているらしい。


まぁ、倒れられたら困るか。



「光さんはここで1人?」



「そうだな。店内はガラガラになるだろ。みんな、出店で飲み食いするだろうし」



そう言っているが涼しみに入るのでは?


暑い時期に開催するなら、涼しい場所を求めるはずだ。



「この飲み物はこの前と違って見た目がいいから売れそうです」



「味もいいぞ。炭酸だからスッキリする。海も色々試行錯誤したが、最後は意見を優先した」



真理亜の意見を聞き入れた結果だ。


これなら売れるだろう。



「凛、夕飯はどうする?今日は麻矢さん遅くなるんだろ?食べて行くか?帰りは俺が送る」



あれ?


海じゃないの?


横を振り向くと隣にいたはずの海の姿がない。


気配を消してどっかに行った?


さっきまで話していたのに?



「海がいない」



「アイツなら静かに出て行った。まぁ、気にするな。伝えたいことは言ったから満足したんだろ。仕事を頼む側としてどうなんだ?と思うけどな。で?食べるか?それか、家に帰って自分で作って食べるか?」



「ここで食べます」



今から作るのは嫌だ。


食べるの遅くなると、寝る時間もズレる。



「何食べたい?魚介系はないから無理だが」



「スープ系がいいです」



「スープか………………豚汁ならすぐだぞ。日中は定食を出していたから、豚汁の余りがある。あとは、コロッケでも揚げるか?」



豚汁・コロッケ定食だね。



「お願いします」



「少し待て」



大きな鍋に作った豚汁はきっと美味しい。


カレーとか煮込み系は大量に作ると美味しいよね。



「光さんは、海に少しずつ任せているんですか?」



「そうだな。表に少しずつ出してはいる。祭りの参加も頼まれたってこともあるが、海にとっても良いと思った。表側とたくさん接することで学ぶだろ?あれこれ言ったところで分からないこともある。裏にいたヤツに理解しろなんて言ったところで理解できないだろ。祭りはたくさん来るからな」



「そうですか。たくさん来ますか?お客さん」



「SNSに盛大に広告出しているらしいぞ。通行止めもするから出店もたくさんだ。休憩時間になったら見に行ってみろ」



休憩時間なんてないのでは?


夕方から夜までだよね?


お客さんが来ないなら見に行けるけど。



「白飯、豚汁な。コロッケは待て。カットトマト食べるだろ?」



ホカホカな白いご飯と、熱そうな湯気が見える豚汁。


この二つだけでも私は十分だ。


で、冷たいカットトマト。



「夏休み、あと少しだなぁ」



「そうですね」



インターンシップの件、どこまで進んでいるのだろうか。


申請はしたけど、何も言って来ない。


焦ってはダメだと分かっているけど、内定をもらった人たちを見ると若干焦ってしまう。


夏休み前に1社だけでもいいから行きたかった。

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