第196話
すっかり毒気を抜かれた翡翠に、俺は畳み掛ける様に話しかけた。
「珊瑚の純粋な所に惹かれた。俺にない慈悲の心と温かさがたまらなく欲しいって思っちまうんだ。」
羞恥とか忘れてそう言ってた。
おれの本心を伝えたい。
珊瑚と血の繋がる翡翠だから。
そして、俺を親友だから。
「フッ・・・女ったらしの柊馬からそんな言葉が聞けるとは思ってなかったな?本気なんだな?今までお前の周りに居たような女達と同じ扱いじゃねぇんだな?」
翡翠は口角を上げると、射抜くような視線を俺に向けた。
妹程じゃねぇけど、珊瑚の事もやっぱ大事に思ってるんだな?
ま、血を分けた姉弟だもんな・・・。
「ああ、今までとは全然ちげぇ。」
「だったら、俺は何も言わねぇ。珊瑚が幸せになんなら別に文句はねぇよ。」
「幸せにしてぇ。初めてそう思えた女だ。」
そう幸せにしたいんだ。
この俺の手で・・・。
「だったら幸せにしてやってくれよな?」
翡翠の顔が穏やかになる。
「あぁ、俺の力を全てかけるよ。」
くせぇ台詞を吐いた。
でも、これが本心なんだから仕方ねぇよな?
「っていうか、何時の間に珊瑚と仲良くなってんだよ。」
呆れたように笑う翡翠。
「あ~ま、運命なんじゃね?」
照れくさそうにそう言った。
2度目の出会いは絶対に運命だ。
あの日の珊瑚の言葉が俺を変えた。
あの日の珊瑚の言葉が俺を救ってくれたんだ。
「ククク・・・貞操なしの柊馬が純愛かよ?」
翡翠はそう言いながら立ち上がると、幹部室の隅にある冷蔵庫に向かった。
「うるせぇよ。」
俺は照れくさそうに鼻の頭を掻きながら、翡翠に認めてもらえた事に喜びを覚えた。
「ほらよ!」
アンダースローで投げられた缶ビール。
「・・・あっぶねぇ。いきなり投げんなよ。」
アタフタしながらそれを受け取った。
「そんな怒んなよ。お前の純愛に乾杯してやるよ。」
翡翠は自分に持った缶ビールを顔の前に掲げる。
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