第192話
「「お疲れ様です。」」
一階に居たメンバーが俺を見つけると次々と声を掛けてくる。
「おう。」
軽く手を上げてその挨拶に答えて行く。
「お疲れ様っす。今日は早いっすね。」
二回の踊り場に居た次期幹部候補の青峰尚人(アオミネナオト)が俺に頭を下げた。
「あ・・・まぁな?ところで翡翠はいるか?」
早く来たのは翡翠と話す為だ。
「はい、もう到着してるっす。他の幹部の方は野暮用で出払ってますけど。」
「野暮用?」
俺は目を細めて尚人を見る。
「あ・・・はい。ちょっと近くの空き地でいざこざがあって。その収集に行かれたッす。」
「いざこざ?」
そう言えば最近、うちの周りが騒がしいって筧が言ってたな?
「うちの下っ端連中に、ちょっかい掛けてる連中がいんすよ。最近、勢力を伸ばしてるチームで。何でも有りの連中なんで少しばかり手こずってるっす。」
何でも有りが一番面倒くせぇ。
俺の眉間にシワが寄る。
「あ!でも、柊馬さんが出張るほどでもないっすよ。俺達でなんとか押えてみせます。」
幹部が出て行ってる時点で押えれてねぇ証拠だろ?とは思ったが無言で頷いた。
今は翡翠と話すのが先決だからな?
ざこは筧たちにまかせときゃ、なんとか何だろ?
「ま、きばってやれよ!次期幹部候補さんよ。期待してるぜ?」
冗談交じりにそう言うと尚人の肩をポンと叩いた。
「うっす!ご期待に添えるように頑張るっす。」
瞳を輝かせて頷いた尚人。
随分前に、幹部になるのが夢だって期待に胸を膨らませてたよな?
そんなこいつの夢を打ち砕く原因を作るのがこの俺だったって事を、この時は気付いてもなかった。
「じゃあな?」
尚人に軽く手を上げて俺は幹部室のドアノブに手を掛けた。
開いたドアから何の躊躇もなく幹部室に入る。
「お疲れ様っす。」
ドアが閉まる瞬間、背中から聞こえた尚人の声。
俊敏さ喧嘩の強さ、洞察力、どれをとっても尚人は次期幹部に間違いねぇな?
ふっとそんな事が頭に過った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます