第184話
2.3分してお前が駆け足で戻ってくる。
手には濡れたタオルを持っていた。
どうやら、公園のトイレにタオルを濡らしに行ってたらしい。
しかも、どこかでこけたのか、さっきまで綺麗だった膝に擦り傷を作ってるし。
「これで、傷口を拭かなきゃ。」
お前はそう言って、俺の顔にタオルを押し当てた。
「冷てぇ~。」
「我慢して、ちゃんと拭かなきゃ。ばい菌が入っちゃう。」
あいつは容赦なくタオルを当ててくる。
「いてぇ!」
「ごめんね。もう少し。」
あいつの必死な顔が可愛くて。
「お姉ちゃん。私、家に帰ってお兄ちゃんを呼んでくるね。」
妹がそう言って走っていこうとしたら、
「ダメ!一人で歩き回らないで!」
と凄い剣幕で妹を怒鳴りつけた。
今までの態度からは想像も出来ない剣幕に俺は驚いた。
「すぐそこだから大丈夫なのにぃ。」
妹はブツブツ言いながら戻って来る。
こいつも、シスコンなのか?
この兄妹は妹に過保護すぎるな。
と・・・思ってたら、
「今、過保護だ!って思ったでしょう?」
って、俺の心を見透かしてきた。
「過保護にするに理由があるのよ。この子ね、誘拐された事があるの。すぐに弟が見つけたから大事には至らなかったけど。その後も、誘拐未遂が1件あって、目が離せないのよ。」
難しい顔をしてそう言った。
「へぇ~、人気者だな・・・妹?」
俺がそう言って笑うと、
「茶化さないで!」
潤んだ瞳で俺を睨みつけた。
「悪い。」
「もうあんな思いはしたくない。凄く心配したの。」
涙目でそう言うあいつが、俺の心を騒がせた。
「そうだな。身内が攫われたりしたら、心配だよな。」
「うん。この子、見ての通り可愛いでしょう?だから、人目を引いちゃうんだろうね。私にもこの可愛さを分けて欲しいんだけど。」
って、笑うお前も十分可愛いと思うぜ。
コロコロと表情を変える目の前の女に惹かれ始めてる俺が居たんだ。
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