第183話

ベンチに寝転んだままで居た俺の耳に聞こえてきた足音。





ふっと気になり視線を向ければ、昨日見た翡翠の姉妹の姿。






可愛らしく笑う姉妹に目を奪われた。







俺なんかに気づいてくれやしねぇよな?




自嘲的な笑みを口元に笑みを浮かべる。





「イテッ・・・。」



殴られてキレた口が痛んだ。






口を服の袖で拭いながら体を起こすとベンチに座る。








そんな俺を妹の方が見つけて、走り寄ってきてくれた。





今思えば、見つけてもらいたかったのかも知れねぇ。






「お兄ちゃん、昨日来た人だよね。」



傷まみれの俺を小さな瞳で覗き込む妹。






綺麗な瞳を見て、『こいつは将来いい女になるな』なんて思った。





そして、妹を追いかけるようにしてすぐにお前がやって来た。





「コハ、知り合い?」



なんて首を傾げながら間抜けな質問を妹にする。





どう考えても、小学生の妹に俺みたいな血まみれの知り合いがいるとは普通は考えねぇだろう?





「それは無いけどね?」



妹はそう言うと呆れ顔で肩を竦めた。





妹の方がしっかりしてる事に驚く。




「ブハッ・・・どう見ても知り合いな訳ねぇだろ?」



俺が大声で笑うから、お前はふくれっ面で俺を見る。




「お姉ちゃん、この人お兄ちゃんの友達だよ。」



「えっ?そうなの?」



妹のフォローに、驚くお前。





昨日の今日なんだから、少しは覚えててくれよな?なんて落ち込む俺が居た。







「それにしてもすごい怪我してるね。ちょっと待ってて。」



そう言って、あいつは俺と妹を2人にしてどこかに走り去る。




「姉ちゃんはいつもあんな感じなのか?」



溜息を付いてそう聞けば、



「うん、だいたいね。ちょっと天然な所が可愛いんだよ。」


「そうかもな?」



俺と妹は笑顔で頷き合う。





血だらけの俺を見ても、普通に話してるお前も変わってるけどな!と突っ込みそうになったけど、口が達者そうだったのであえて言わなかった。

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