第178話
今までに見たどの女よりも可愛らしかったから。
顔つきだけじゃねぇ。
そりゃもちろん顔も可愛らしかったけど。
持ち合わせてる雰囲気が凄く可愛らしかった。
小さい目の瞳にぷっくりした唇。
それでいて嫌みのない顔付。
美少女って言う呼び方がふさわしいと思った。
翡翠が背中に隠す少女とよく似た女は、俺を見てニッコリ笑う。
「お迎えご苦労様。いつも翡翠がお世話になってます。」
そう言って頭を下げてくれた。
俺なんかに・・・。
俺は目を見開いたまま、
「あ・・・いや、別に。」
素っ気ない返事を返す事しか出来なくて。
「珊瑚、気を付ろ。こいつは根っからのタラシだからな?喰われるぞ。」
余計な情報を吹き込むな!翡翠。
ギロッと睨めば、してやったりと笑う翡翠。
「もう、翡翠ったらお友達の事をそんな風に言うもんじゃないわよ。それに、人間なんて食べやしないわよ。」
翡翠を咎めてからクスクスと笑う女は、言葉の意味を理解してないみたいだ。
天然?
「意味分かってないってのはある意味怖い。」
翡翠は溜息を吐く。
「意味って?」
首を傾げる仕草に、ドキッと胸が高鳴った。
何だこれ?
どうなってんだ?
今まで感じた事のない感情に押しつぶされそうになる。
目の前の女に触れてみてぇ、なんて思っちまった。
揺れる長い髪を俺の手で梳いたら、サラリと滑り落ちるんだろうか?
変な妄想が頭に浮かぶ。
・・・んだこれ?
ヤル以外で女に触れたいなんて思った事なんて、今まで無かったのに。
モヤッとする心に戸惑った。
俺はその場の空気に耐え切れず、背を向けて歩き出した。
「あ、待てよ。」
追いかけてくる翡翠と、
「じゃぁ、気をつけて行ってらっしゃい。クリスマス暴走楽しんでおいで。」
と声を掛ける女。
「お兄ちゃん行ってらっしゃい。弘兄にもよろしく。」
可愛い少女の声に、
「おぉ、姉貴達もパーティーを楽しめよ。」
振り返った翡翠は笑顔でそう言う。
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