第171話

「良いも何も、寝てんだから起こすんじゃねぇよ。」




『はぁ?もう、昼前だぞ?いつまで寝てんだよ。』



「あぁ゛?うっせぇな。仕方ねぇだろ?朝まで女抱いてたんだよ。しかも3Pだぜ?」



『何やってんだよ。ったく。そんなので今日の夜いけんのか?』



「心配しなくても、夜までには体力も回復する。てか、何か用だったのか?」




俺は耳に携帯を当てたまま上半身を起こすと、空いてる方の手で前髪を掻き揚げた。







『悪いけど、夕方迎えに来てくねぇ?』



「はっ?お前のバイクは?」



『それが昨日の夜故障しちまった。ったくついてねぇ。』



憎々しげに溜息をもらす翡翠。





「ハハハ・・・クリスマス暴走前に総長のバイクが壊れるとかありえねぇだろ?」



鼻で笑った。





『うるせぇよ。俺だってそう思うし。』



少し落ち込んだ感じの翡翠の声に、意地悪はほどほどにしてやろうと思った。





「仕方ねぇ、迎えに行ってやんよ。」



と言えば、




『マジでか?助かるわ。19時半ぐらいに来てくれるか?』



と声が明るくなった。





19時半とか遅くね?





「遅い集合だな?」




『俺だけな?ほら、うち妹と姉ちゃんがいんだろ?ちょっとは家のパーティーに参加しねぇといけねぇんだよ。』




「んだよ。またシスコンぶりかよ。」



と苦笑いを浮かべれば、




『うるせぇよ。毎年恒例なんだよ。』



なんて言いやがった。






「ま、良いけどよ?ところで弘毅とか他のメンバーはどうなんだ?」



『あぁ、俺とお前以外は18時から暴走とパーティーの準備だ。』



「そうか。ま、準備サボれんなら迎えにいってやんよ。」



『お前はそう言うと思ってたよ。』




ハハハ・・・翡翠の笑い声。






「じゃ、また夕方な?」



『おう、頼むわ。迎えの礼に、うちの美人姉妹見せてやるぜ?楽しみにしとけよ。』




翡翠はそう言うと電話を切った。







「美人姉妹なんてみたくねぇよ。」


俺の乾いた笑いが部屋に響く。






翡翠の姉妹って時点で、どんなに美人でも遊びの対象になんねぇだろうが!





そんな女、楽しみでもなんでもねぇ。










運命の歯車はきっとこの時から回り始めていたんだ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る