第163話
「琥珀はさ、リクを待つんだよね?」
「うん、待ちたい。ま、私の所に帰ってきてくれる保証なんてないけどね。」
真っ直ぐ前を見据えたまま切なげに笑う琥珀。
リクを待つ為に七瀬の手を離した琥珀。
あいつなら琥珀にそんな顔させなかったかもしれないのに。
それでも琥珀は自ら辛い道を選んだんだね?
「馬鹿だよ。」
と漏らせば、
「馬鹿かもね。」
と呟いた。
「でも、リクを待っててくれてありがと。」
「蘭丸?」
お礼を言った俺を不思議な顔で見る琥珀。
思わずお礼が言いたくなったんだ。
リクも琥珀も大好きだから、2人には一緒に笑ってて欲しいんだよね。
「琥珀をね、こんなに寂しい思いさせたリクは帰って来たら俺が殴り飛ばしてあげる。殴ってもう二度と離れんな!って言ってやる。」
「フフフ・・・ありがと。」
「約束。」
小指を差し出せば、
「ん、約束。」
琥珀は小指を絡めてくれた。
「絶対に、帰ってくるよ。あいつは琥珀の元に。」
これは自信ある。
だって、琥珀を愛してやまない奴なんだから。
「だったらいいな・・・。」
琥珀は儚げに微笑む。
「信じて待っててやって。」
「うん。」
琥珀もリクもお互いじゃなきゃ、きっと幸せになれない。
これはもう運命が決めた事なんだと思う。
「帰ってきた時は、思いっきりぶっ飛ばしてね。」
ウフフって笑う琥珀を幸せにしてあげたい。
「当たり前。渾身の力で吹っ飛ばす。」
力こぶを作ってみせて笑う。
「楽しみ。」
「その前にさ、琥珀が背負い投げしたりして。」
なんて言った冗談が本当になった事を、俺は知らない。
「まさかぁ。背負い投げたりしないよ。」
悪戯っ子みたいに琥珀は笑った。
夕暮れの公園にしばらくの間俺達の笑い声が響いた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます