第162話
先に口火を切ったのは琥珀。
「今日はお節介して、ごめん。」
申し訳なさ様な顔しないで。
「琥珀は謝る事なんて一つもないよ。だから謝らないで。」
焦った俺は顔の前で、大きく手を左右に振った。
「でもさ。強硬したっちゃし。」
ペロッと舌を出して苦笑いを浮かべた。
「ううん。ありがと。琥珀のお蔭で俺も要もあの場所に行けた。それに向き合う勇気だ出たんだよ。」
そう、琥珀のおかげで母さんに話す事も出来た。
「向き合えた?」
首を傾げた琥珀に、
「うん、向き合えたよ。現実を見る事を約束した。だから・・・・・ありがと。」
隣に座る琥珀をギュッと抱きしめた。
「えっ?」
驚いた声を出す琥珀。
今だけ、抱きしめさせて。
君に抱いた恋心の存在を、今日知ったんだ。
大切な仲間だと思ってた。
でもね、琥珀に惹かれてたみたい。
母さんと向き合って気持ちがすっきりした事で、気付いちゃったよ。
「今度は、俺が琥珀を助けるから。だから、何でも言ってね。」
琥珀の背中を抱く手に力を込める。
君が好きだから、今度は俺が助ける。
リクのせいで弱った心を支えるよ。
俺の恋心なんて伝わらなくてもいい。
琥珀がただ幸せに笑っていてくれればそれだけでいいんだ。
「蘭丸・・・ありがと。」
琥珀が優しく背中を摩ってくれた。
「何言ってんの!こっちこそありがとだよ。」
フフフと笑う。
「これで蘭丸も要も、本当に笑えるんだね?」
「うん、笑えるよ。」
全部、琥珀と銀狼のメンバーのお蔭。
「だったら良かった。」
心底安心したように微笑んだ琥珀を見て、胸がドキッと高鳴った。
琥珀だってホントは辛い思いをしてるはずなのに、俺達の事まで考えてくれる。
人の為に迷わずに何かが出来る君が好きだと思う。
もう一度だけ、ギュッと抱きしめて琥珀を腕の中から解放した。
「ごめんね?急に抱きついて。」
「蘭丸も、要もいつもの事じゃん。」
ま、鈍感な琥珀は俺の気持ちなんて気づかないか?
少しだけ自嘲的な笑みを漏らす。
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