第155話
「蘭丸のお家の事情をね?知らないから言えるんだって言われたらそれまでだけど・・・。」
琥珀はそう言いながら、俺達2人に視線を向ける。
そう言えば琥珀には詳しい話はしてないよね。
「だからこそ、向き合って欲しいと思う。知らないから自分勝手な事言っちゃうね?蘭丸も要もいつも苦しそうに笑うぐらいなら、全部吐き出しちゃえばいいんだよ。我慢して大人ぶる必要はないよ。」
吐き出す事をずっと忘れてた。
違う方向で憂さを晴らしてばかりいた。
ずっと向き合わずに目を背けてきた。
早く大人になろうと、苦しみから逃れたい為に考えて来た。
「兄ちゃん、行こう。母さんに会いに。」
要が一歩踏み出す。
「うん、行くか?」
口の中で残り少なくなっていたチュパをガリガリとかみ砕く。
そして、大きな一歩を踏み出した。
そんな俺達を見て琥珀は嬉しそうに笑うと正面を向いて歩きだした。
「僕、桶を借りて来るから、2人で先に行ってて。」
要はそう言うと、すぐ側に在った建物に向かって走り出す。
「分かった。頼むよ。」
俺は手を上げてそれを見送ると、足早に歩いて琥珀の隣に並んだ。
「勝手にごめんね?」
前を見据えたまま琥珀がそう言った。
「・・・ううん、勇気を分けてくれてありがと。」
俺も前を見据えたまま話す。
「蘭丸にも要にも、本気で笑って欲しいんだ。だから・・・。」
「うん、向き合うよ。」
俺達の微妙な変化に気付いてたんだね。
母さんが死んだあの日から俺達は上手く笑えなくなってた。
軽いチャラチャラした奴に成り下がった癖に、心の奥底ではいつも覚めていた。
要も俺も誰かからの愛情が欲しくて激しい女遊びをして、満たされない歪んだ生活をしてた。
琥珀に会ってからは、落ち着いたつもりだったけど。
やっぱりどこかで、母親の代わりになる愛情を求めてたんだと思う。
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