第154話
霊園に着くとタクシーを降りた。
料金を払おうとした琥珀を遮って、要が払っていた。
よし、中々やるな!要。
琥珀はブーッブーッ言ってたが、俺達2人は取り合わなかった。
霊園のゲートを潜ると琥珀が感嘆の声を上げた。
「すご~い!海の見える丘にお墓があるんだね。」
墓地を眼下に広がるパノラマ。
青い海と青い空・・・そして白い雲。
初めて来たけど、こんな場所だったなんて知らなかった。
「あの人の割には良い場所を選んだね?」
皮肉っぽく言葉を吐き出す要。
ここが母さんの眠る場所なんだとわかるんだな?
「そうだな?母さんに良く似合う場所を選んだよ。」
本当にそう思った。
「さ、行こうか?」
琥珀が歩きだす。
だけど、俺と要は最初の一歩を踏み出せずに立ち止まってしまう。
俺が戸惑う様に、要は要なりの戸惑いがある。
「やっぱ、怖いよね?」
おもむろに振り返った琥珀が眉を下げる。
そして、一向に歩きださない俺達に向かって話し出す。
「私もね?初めて珊瑚ちゃんのお墓参りをする時、怖くて動けなかった。」
そう言いながら琥珀は空を見上げる。
「琥珀・・・。」
余りにも儚い表情に胸が痛んだ。
「私を怨んでるんじゃないか?とか。忘れてたなんて許してくれないんじゃないか?とか。色々不安でね。それでもね、勇気を振り絞ってお墓に手を合わせたら、分かったんだ。来るのを待っててくれた事。」
来るのを・・・待ってた?
母さんも、待ってくれてるんだろうか?
「私の思い過ごしだと言われたらそれまでだけど。でも待っててくれた気がした。だから、怖くても勇気を振り絞って会う価値はあると思うんだ。だって、蘭丸達と血の繋がったお母さんだもん。」
「そうかな?」
本当にそうだろうか?
不安で心が一杯になる。
母さんは俺を怒ってはいないだろうか?
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