第153話

「しかし、兄ちゃん。花束デカ過ぎるけど?」



キャハハと笑う要。





「煩いよ。苦情なら琥珀に言えば?これ注文したの琥珀だから。」



花束を膝の上で抱えたまま、要を睨みつける。





「はっ?琥珀なの?」



「うん、色々な花に囲まれてみたくて。」



なんておどける琥珀。






「なんだよ、それ?ってか、こんなに買ったら高かったんじゃない?」



要が値段の話を振って思い出す。





「そうだ!お金。いくらだった?」



女の子に出させるなんてダメだ。




「さ~、いくらだったっけ?ま、いいじゃん。」



琥珀はやんわりとはぐらかす。




どうやら言うつもりはないらしい。





「ダメだよ。いくらか教えて。」



花束を抱えてるから邪魔で仕方ない。



琥珀を上手く問い詰める事も出来ないじゃん。






「そんなムキにならないでよ。あっ!そうだ。」



苦笑いを浮かべた琥珀は何かを思い出したのか、鞄をガサゴソ漁りだす。





で、取り出したそれを袋からだすと、俺の口に突っ込んだ。




「あげる!パインミルクだよ。蘭丸が喜ぶと思って買っておいたんだ。」




「・・・っ・・・。」



口に突っ込まれたチュッパで話せない。






手は塞がってるし、口まで塞ぐとは・・・。





琥珀の作戦勝ちだね?





「美味しい?」



なんて無邪気に聞くから、ウンウンなんて首を上下に振ってしまう。





ま、琥珀には一生勝てないんだよね?





口に広がるパインミルク味を堪能しながら苦笑いを浮かべた。








「あっ!兄ちゃんだけ狡い。」



口を尖らせる要に、




「じゃ、要はモカ味。」



すかさずチュッパを差し出した琥珀。





「ありがと。」



笑顔で受け取る要と、




「うん。」



笑顔で頷く琥珀。





まったく用意周到だね?






琥珀のおかげで、霊園に向かう緊張が少し解れていた。





本当に不思議な女の子だと思うよ。





いままで、俺の周りには琥珀みたいな子は1人も居なかった。




居るだけで、笑うだけで、人を和ませる事が出来るんだからね。

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