第149話

「要も食べる?」



そう言ってチュッパを差し出せば、




「ありがと。」


と笑って受け取った。





兄弟2人で、子供みたいにチュッパを咥えながらタクシーの後部座席で微笑んだ。








そして再び窓の外に視線を向る。







もうすぐ大好きな皆に会える。




そう思うと胸が躍った。





何よりも、琥珀を祝福してあげれる日が来た事を嬉しく思うんだ。







あの日、琥珀とした約束を今果たしに行くよ。





















リクが琥珀を置いて渡米してから半年ほどたった日の事だった。




「どうしたの?蘭丸?」




隣を歩く琥珀が心配そうに俺を見上げる。





「ん・・・何でもないよ?」




ヘラリといつもの様に笑ったのに、






「私にまで笑顔を張り付けるのは止めてよね?」



なんて怒られた。






「ごめん・・・。」



琥珀は些細な事もすぐに気付く。





自分の事に関しては鈍感なのにね?







「私は頼りないかもしれないけどさ。一人で悩まないでよね。」



なんて眉を下げた琥珀を見て、




「今日はね、母さんの命日なんだよねぇ。」



なんて明るく話して見た。






「・・・・・お母さんの?」



「うん、そう。」




そう言えば琥珀には家の事情なんて話した事なかったっけ。






「じゃぁ、こんな所でブラブラしてる場合じゃないでしょう?行くよ!」




急に俺の腕を引いた琥珀はズンズンと歩き出す。








「えっ?はっ?ちょ・・・ちょっと待ってよ。」




押せる俺を振り返りもせずに、琥珀はどこかを目指して歩く。







仕方なく、琥珀に腕を引かれるままに道を歩いた。






琥珀って時々強引な所あるんだよね?









人波を縫ってたどり着いたのは一件の花屋。







琥珀は躊躇もせずに店内へと入って行く。




「いらっしゃいませ。」


店員の声。







「ね、蘭丸のお母さんってどんなお花好きだった?」



振り返った琥珀。



そこでやって手を離して貰えた俺。







「へっ?あ・・・花全般好きだったと思う。」



曖昧な返事。





だって、母さんは本当に花が好きで色々な花を育てていたんだよね。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る