第136話
俺の突然の行動に、父親も女も驚きの視線を向けてまま固まった。
「要、少しだけ、ここで目を瞑って耳を塞いでてくれるか?」
俺は要を部屋の中が見えない場所へと座らせる。
「うん、分かった。お兄ちゃん。」
そう言うと要は目を閉じて耳を塞いだ。
俺はそれを確認してから、部屋の中に再び足を踏み入れる。
父親と女は慌てて行為を中断したらしく、服装を直そうと躍起になっていた。
俺は入ってすぐの棚に置いてあった壺と燭台を手に取ると、何に躊躇もなく父親と女めがけてぶん投げた。
ピアノにガシャンと音を立てて当たり粉々に砕け散る。
「キャー!」と女の悲愴な悲鳴。
砕け散った破片が女の綺麗な顔に傷をつけていた。
「うぅぅ・・・。」
燭台が当たった父親の頭からは赤い血が流れでる。
俺はそれを見てニヤリと笑った。
いい気味だ。
お母さんの聖地を荒らした報いだ。
「ご・・・ご主人様。」
乱れたままの服装で父親に泣き縋る女。
「・・・ら・・・蘭丸、お前、何を。」
流れ出る血を片手で押えながら恐怖を宿した父親の瞳が俺を見ていた。
「あんたこそ、ここで何をやってるんだよ?」
冷たい視線で父親を捉えて、低い声でそう尋ねた。
「・・・・・。」
「ふざけんなよ!ここはお母さんの聖地だ。汚れた女も汚れたあんたも入って良い場所なんかじゃない!」
怒りに声が震えていた。
2人を真っ直ぐに睨みつける。
女は怯えたような瞳をして父親の背に隠れた。
「おい雌豚、金輪際この屋敷に姿を現すな!糞親父!浮気すんなら家以外でやれ!今度、家の中でこんなことしたら、本気で殺してやる!」
今まで出した事の無かった殺気が自然と出た。
この時は本気で、殺してやろうと思ったんだ。
今思えば、完全に理性を失ってたと思う。
唖然とする2人を置いて俺は部屋を出た。
「ごめんな?要。さぁ、お母さんを探そう。」
外で待たせていた要の手を取ると立ち上がらせた。
「・・・う・・・うん。」
不安げに揺れる要の瞳に胸が痛んだ。
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