第135話
母親の大好きな部屋に向かう。
長い廊下を要と不安を抱えたまま歩いた。
母親がピアノを弾く為に作られた部屋。
白い壁に白い天井、白いグランドピアノ。
いつもそこだけが異空間だった。
母親だけの聖地、と言っても過言じゃなかった。
そこに居て、きっと俺達に『おかえりなさい』と微笑んでくれると信じて疑わなかった。
でも・・・俺と要が目にしたのは汚れた光景だった。
ピアノの部屋のドアが微かに開いていた。
そこから聞こえてくる悩ましげな声と水音。
そしてギシギシと何かの揺れ動く音。
子供だった俺と要が予見できるはずもなかった光景。
それでも、声を出せなかったのは俺達の防衛本能が働いたせいだろうか?
ゆっくりとドアに近づいてその隙間から部屋の中を見た。
するとそこには、服がはだけて半裸になった家政婦と、それに覆いかぶさって一心不乱に腰を振る父親の後姿。
父親はズボンを膝まで下げ尻を露わにして、女のそれへとぶつけていた。
水音、女の喘ぎ声、重なる2人。
「・・・ッ・・・要ダメだ。」
俺の後ろから部屋を覗き込んでいた要の目を両手で覆った。
もう、遅かったかもしれない。
それでも、これ以上要には見せたくない光景だった。
大好きなお母さんのピアノの上で、淫らに女と絡み合う父親。
「・・・うえっ・・・。」
耐えきれない吐き気がもよおした。
「お・・・お兄ちゃん。」
要の泣きそうな声。
父親と女に対しての怒りが湧き上がる。
こいつらは何をやってるんだよ。
ここはお母さんの聖地だ。
お母さんは・・・・どこに?
まさか、この光景を見てしまったんじゃ?
怒りと不安が俺の心を支配していく。
要の目を覆いながら俺は真っ直ぐに行為に勤しむ2人に視線を向ける。
女の顔をした家政婦と目が合った瞬間、頭の中で何かがブチ切れた。
「糞が!何やってんだよ!」
目の前のドアを思いきり蹴り開けた。
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