第132話

群がるギャラリーや追っ掛けをかい潜ってタクシーに乗り込んだ2人。







「はぁ・・・まったく疲れる。」



すっかり大人びた顔をなった蘭丸が苦笑いを浮かべる。




銀狼に居た頃より伸びた身長。




キリッとした顔つき。




無邪気だったあの頃より、大人の色気を醸し出していた。




それでも口に加えるのはロリポップ。





昔の名残はそれぐらいしかもうない。






「兄ちゃんはロリポップ好きだよね?あっ、日本ではチュッパだっけ?」



隣に座る蘭丸を見ながらケラケラ笑う要。





「これだけはね、手放せないな。」




切なげに笑う。






苦しかった時代を忘れない為に、これだけは手放せない。





二十歳を過ぎたいい大人が!なんて言われてもムリなんだ。








琥珀に会うまでは、こんな物が俺の安定剤だったんだから。






なんとなく窓に向けた視線。





ここが日本だと言うことを思い知らされる。





ゴミゴミとした景色。





先急ぐ車達。





すべてが俺の嫌いだった過去へと繋がっている。





空港島から都心へと伸びる連絡道を走る車の車内は自棄に静かだった。








俺の意識は忘れたい過去へと誘われていく。

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