第129話

琥珀ちゃんは逃げた後の悲しみを知ってるから、だから佐野には逃げて欲しくなかったんだと思う。





「俺、ここに来てよかった。お兄さんと話せて。無茶苦茶緊張して、無茶無茶ビビったけど。」



そう言って笑った佐野の顔には、さっきまでの弱弱しさは無かった。






「ま、俺も向き合えて良かったよ。佐野がどんな奴なのか分かったしね?妹を頼むよ。」



「もちろんです。」



「じゃ、もう戻りな?妹が君の帰りを待ちわびてるかもしれない。」



佐野と会話する妹を見た時、本当に幸せそうに笑ってたんだ。



あの笑顔を俺は消したりできない。





「はい、失礼します。付き合えたら改めて挨拶に伺います。」



佐野はそう言うと一礼してから部屋から出ていった。






ゆっくり閉まるドアを見ながら、大きく息を吐き出した。





「はぁ・・・なんだか複雑。」





等々妹が俺の手を離れる時が来たんだな・・・。





寂しいような嬉しいような。







今夜にでも、妹と話してみよう。






高一にもなれば、人を好きになる事だって有るよね?






相手が佐野なら、見守ってやってもいいかな?なんて思えた。



















それからしばらくして戻って来た琥珀ちゃんと、カラオケ店を後にした。




琥珀ちゃんがどうやって妹達の部屋に入り込んだのかは、教えてもらえなかった。




ま、上手く事が運んだので、良しとしようか?







ニコニコ微笑む琥珀ちゃんの隣で、翡翠さんとシスコン同盟を結ぼうか?と画策していた俺。






あぁ~兄貴って、こんな時辛いよ。







妹の幸せを願いつつも、やっぱ佐野との交際には目を光らせよう!






そう心に決める俺が居た。













End.

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る