第125話

「はい、失礼します。」




男は丁寧に頭を下げると、部屋に足を踏み入れた。







「ま、適当に座って。」



俺は元いた場所に座りなおす。





「はい。」




男は会釈すると、対面のソファーに腰を降ろした。








テーブルの上に置いてあったiPadの電源を切ると、俺は真っ直ぐに相手を見据える。






「琥珀ちゃんに言われて来たのなら、俺が誰か知ってると思うけど、一応自己紹介するね?夏目総司。よろしくね。」




「は・・・はい。お・・・俺は西北高校生徒会長の佐野亨(オイカワトオル)です。初めまして。」




丁寧に挨拶した佐野を見て、礼儀は弁えてるのだと思った。










「遠まわしに言ってもね?仕方ないから単刀直入に言うよ。」




俺がそう言えば、佐野はゴクリと息を飲んだ。






「妹に、告白したそうだね?」



黒い笑みを浮かべる。





「はい。昨年の四月に彼女を見た時から彼女に惹かれてます。」





揺るぎ無い瞳で俺を見つめて、佐野がそう言った。





こいつの真意を探りたくて射抜く様な視線を向ける。






「それじゃ、妹が入学した時からって事?」




「はい。彼女が生徒会になって、顔見せで会った時から好きです。」




「・・・・・。」




「お兄さんが俺を気に入らないのは、重々承知しています。それでも、俺も軽い気持ちじゃない。」



佐野の目が挑戦的に光る。






「君の事は少し調べたよ。」



「・・・・はい。」



佐野の眉が寄る。






都合の悪い過去を知られたくないみたいだね?







「いまでこそ、黒髪眼鏡の真面目な生徒会長さんだけど。中学の頃は相当遊んでいたらしいね?」



あくまでも冷静に話す。




「それは・・・それは間違いないです。中学の頃は荒れていました。」




潔く認めた佐野。





「別に、荒れてた事や遊んでた事が悪いと言ってる訳じゃない。俺だって、君に偉そうに言える立場でもないしね?でも・・・妹の相手となれば別だ。あの子を傷付ける事は許さない。」




そう、別に佐野の過去なんかにこだわらない。




妹に害が及ぶことがないなら。






「お兄さんの言いたい事は分かってます。でも、俺は真剣に彼女に惚れてます。」




佐野は怯むことなくそう告げた。

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