第126話

真っ直ぐに俺を見る瞳。





今吐いた言葉が嘘じゃないと物語ってる。






だけど、これぐらいで引く訳にもいかない。






大事な妹を任せられる男なのかを見極めなきゃね?







「君の本気はどこまでなんだろうね?」


そう言って微笑する。





「彼女を好きになってから、身辺整理をしました。今、俺の周りに女の影はまったくありません。」



佐野がこう言うのは予想済み。




彼の現在を状況を調べた時、女の影はまったく見当たらなかったからね。





それでも、もしかすると巧妙に隠してる可能性もゼロではない。





俺の操作にだって限界はあるからね。








「へぇ、そう。」




「お兄さんには分かってたんですよね?銀狼の元副総長さんなら、俺の事を調べるなんて造作(ゾウサ)もない事ですよね?」



佐野はそう言うと、グイッと眼鏡を押し上げる。







へ~満更、世間知らずの坊ちゃんでもなさそうだね?




ま、中学時代に荒れていたなら、銀狼の事を知っててもおかしくはないね。







「そう、俺の正体を知ってるんだね?それでも、妹を手に入れたいと思うの?」



笑って居ない瞳で佐野を捉らえる。







「彼女のお兄さんが貴方でも、俺の気持ちは変わりません。彼女が好きで側に居たい。そう思うのはイケない事ですか?」



揺るぎのない瞳。





佐野は本気で妹を。







昔はどうであれ、今現在、佐野が真面目な高校生活を送ってる事は間違いない。





彼がこれ程本気なら、俺の出番はない。






分かってはいるけど、守り育てて来た妹を、目の前でさらわれるのには、やっぱり抵抗がある。







「君と付き合う事で妹が危険に晒される事になったりはしないか?」



これは大事な事だ。





「絶対にないとは言い切れませんが、その時は全力で守ります。自分の命に代えても。」



ないと言い切れないと、言った佐野は正直な奴なんだと思った。





今なら、上辺だけの嘘も通じたかも知れないのに。

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