第123話
琥珀ちゃんが出て行ってすぐの事だった。
「はっ?」
驚きのあまり目が飛び出した。
隣の部屋のモニターに映る琥珀ちゃんの姿に、腰が抜けそうになった。
映像だけで、音は聞こえてこないのでどう言う話で妹達の部屋に入って行ったのかは分からないけど。
琥珀ちゃんが、なぜか席に案内されて妹たちに交じってカラオケを始めたのだ。
映るメンバーの顔はにこやかで、琥珀ちゃんの登場を喜んでる様子がうかがえた。
「ど・・・・どうなってるの?」
琥珀ちゃんの度胸の良さに笑みが漏れた。
彼女の行動力がここまでとは・・・・・。
ま、今は琥珀ちゃんに託すしかない。
変な動きも出来ないし。
俺は静かな部屋でモニターに意識を集中した。
カラオケ店に来て、音のない部屋に一人でいるなんて、まったくおかしな状態だよ。
はぁ・・・と漏れる溜息。
同じ高校生だから話が弾むのか、琥珀ちゃんは妹達メンバーに馴染んでる様に見える。
気が付いたら席替えをしていて、琥珀ちゃんは妹とその好きな相手の隣に座ってる状態になっていた。
歌を選ぶ振りをしながら、不意にカメラに視線を向けた琥珀ちゃんがこちらに向かってウインクしたように見えた。
琥珀ちゃんの作戦は順調らしい。
ここはもう、彼女に任せよう。
全てを一任した俺は、琥珀ちゃんからこちらは見えるはずはないのに、小さく頷いてみせた。
少し長く伸びすぎた変え髪を掻き揚げると、座っていたソファーに深く腰掛けて背をもたれさせた。
それからしばらく何事もなさげに妹達の親睦会は進む。
全く関係のない琥珀ちゃんを交えて。
違和感がないぐらい馴染んで見えるのは俺の気のせいだろうか?
「ホント、琥珀ちゃんって不思議だよ。」
昔、彼女の魅力に惹かれかけた俺。
でも、六織との中に入り込む余地なんてなくて。
2人を見守る側に回った。
それが間違いだったのか?正解だったのか?は今でも分からないけど。
彼女の笑顔を守れるように、影から支えていければいいと思う。
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