第117話
しばらくは、家族の話やなんかをして過ごした。
カラオケ店は以外にも静かで、流れるBGMにも時折耳を傾けたりした。
ガヤガヤと大勢の声と足音が聞こえてハッとする。
背中を向けてる俺は状況は分からないが、琥珀ちゃんがざわめく集団に視線を向けてくれた。
「・・・総司君、来たよ。」
テーブル越しに俺に顔を近付けて、小声でそう告げる。
「うん、分かった。」
そう言って、ゴクリと唾を飲む。
冷静に冷静に。
焦れば全てが台なしになる。
自分にそう言い聞かせる。
氷の貴公子。
銀狼の頃につけられた通りな名を思い出す。
そうだ俺はいつも冷静に沈着がもっとうだった。
妹の事になると、頭に血が昇っちゃう癖を直さなきゃね。
琥珀ちゃんとカップルの様に談話する振りをしながら、妹達の集団をやり過ごす。
チラチラと集団を観察してくれるのは良いけど、バレないようにしてね?琥珀ちゃん。
芝居の下手な琥珀ちゃんにドキドキしつつも、背後に意識を集中させる。
「すいません、予約を入れてた西北高校の佐野です。」
凜とした男の声が耳につく。
こいつが、生徒会長の佐野か?
声だけなら、好青年ぽい。
「はい、団体様でVIPルームのご予約ですね?」
店員の声。
「はい、全員で10人になります。」
「では、こちらに代表者様のお名前とご連絡先をご記入ください。」
その声の後に、サラサラとペンを走らせる音が聞こえる。
「では、ご案内します。」
店員に促されて、足音が遠ざかって行くのが聞こえる。
「みんな、頭良さそうだったなぁ。西北と高嶺って凄いなぁ。」
なんて笑う琥珀ちゃん。
私立西北高校と妹の通う私立高嶺高校と言えば、進学校で有名だからね?
でも、琥珀ちゃんの高校だって引けを取らないぐらい頭いいけど。
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