第92話

美白プリント、なんて書かれたプリクラ機の前に立ち止まる琥珀。





「この機械でいい?」



と俺を見る。





「うん。琥珀の気に入ったのでいいよ。僕、使い方分からないしね。」



「じゃ、ここ入ろ。」



笑顔の琥珀に手を引かれて、プリクラ機の暖簾を潜る。





小さな個室みたいになっていて、色々なボタンのついた機械があった。







「えっと、400円だね。」



そう言いながら鞄を漁る琥珀に、ポケットから取り出した400円を差し出す。





「はい、400円。」



「いいよいいよ。ナナには出して貰ってばっかりじゃん。」



手を振った琥珀に、




「いいの。男がお金を出すのは当然なんだから。それに初体験は僕が出したい。」




琥珀の手の平を掴むとその上に400円を乗せた。






「・・・でも。」



戸惑う琥珀はやっぱり可愛い。





他の女の子だとこうはいかない。





奢って貰うのが当然だと言う様に、遠慮なんてしないんだよね。







琥珀のこう言う謙虚な所が良いんだよね。






「じゃ、有り難く使わせて貰うね。」




そう言うと手渡した400円を機械に投入していく琥珀。







するとプリクラ機が光って喋り出した。






「へぇ~、親切に説明してくれるんだね。」



と関心した俺に、




「うん、最近のは便利なんだよ。って、私も美香からレクチャーを受けたんだけどね?」



ペロッと舌を出して肩を竦めた。





「美香ちゃんね、こういうの好きそうだよね?」




「プリクラはギャルには必須なんだって。」



そう言いながら、機械を操作していく琥珀。







美香ちゃんなら言いそうだね。





自然と笑いが漏れる。







「どの枠がいい?」



と振り向いた琥珀。





俺は機械の画面を覗き込む。





「色んな種類があるんだね?」




「そうなんだよね。だから迷っちゃう。」



なんて会話をしながら、色々決めた。






こんな些細な事が幸せなんだと思える俺がいる。

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