第89話
今はまだリク兄が心に居ても、いつかは俺だけを思ってくれればいい。
だから、やっと掴んだこの手を俺は離さない。
愛してるから。
誰よりも愛してるから。
どうしても琥珀の全てを手に入れたくて、ホテルなんかに誘った。
馬鹿だと言われてもいい。
琥珀を肌で感じたいと思ったんだ。
今まで、どんなに手を伸ばしても掴めなかった女。
今なら、この腕に閉じ込めてしまえる。
早く・・・早く閉じ込めてしまいたい。
琥珀の気持ちが変わらないうちに、その体に俺を刻んでおきたかったんだ。
ヤリたい盛りの中ぼうじゃない。
そんなんじゃないんだ。
琥珀がどうしても欲しかった。
だから、こんな所まで連れて来た。
もちろん、無理矢理自分のモノにするつもりないんてない。
自分の命よりも大切な琥珀を、傷付ける気なんて毛頭ない。
合意の上でしか、そう言う行為は成り立たない。
琥珀も黙ってついて来てくれたって事は、そう言うつもりなんだと思ってる。
いや、少し強引には連れて来たかも知れないけど、琥珀を追い込むつもりはないんだ。
「ね、ね、ナナ。これ可愛い。」
俺の手をツンツンと引っ張る琥珀。
「ん?どれ?」
琥珀の指差す先を覗き込んだ。
それはゲームセンターの店先に並ぶクレーンゲーム機。
琥珀が好みそうな愛らしいクマのキャラクターが、所狭しとひしめき合っていた。
少し大きめなそれは、少しテクニックが無いと取れそうにない代物だった。
目を輝かせて覗き込む琥珀を見て、胸がドキリと高鳴る。
「欲しいの?」
と横に並んで顔を覗き見れば、
「うん。」
素直に頷いた。
ああ・・・琥珀の笑顔には敵わないなぁ。
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