第87話

瑠璃を抱きしめれば、ふんわりミルクの香と暖かさを感じる。






可愛くて仕方ない俺の姪っ子。






琥珀に良く似ていて愛らしい。





「あぅ・・あぅ・・・ばう。」



小さな手が俺の頬をプニッと両手で掴んだ。






紅葉の様な小さな手。






思わず顔が綻ぶ。








「るぅちゃんはナナが大好きだね。」





琥珀が嬉しそうに微笑むから、





「じゃ、将来は僕のお嫁さんに来て貰おうかな?」


なんて冗談混じりに微笑めば、




「やだぁ~ナナったら。瑠璃が大きくなるまで何年もかかるんだよ。」



肩をパシパシと叩かれた。





いや、冗談だから・・・。





片手で瑠璃を抱いたまま苦笑いする俺。





でも、こんな時間も幸せに思うんだ。










「まぁ、素敵なパパと可愛らしいママね。」



側を通った老夫婦がこちらを見てそう言った。




「ほんとだね、娘さんも可愛らしい。」



「ええ、そうですね、おじいさん。」



微笑ましそうに目を細める老夫婦。








俺達も傍から見れば家族に見えるのか?





嬉しくて、顔が綻んでしまう。








「ありがとうございます。」



琥珀は瑠璃が褒められた事が嬉しくて、老夫婦に笑顔を向ける。






3人が世間話を始めたのを横目で見ながら、瑠璃を膝の上であやす。







可愛い瑠璃と、可愛い琥珀。





俺のモノではない。






それでも、あの時・・・。






上境紘とあのホテルで会わなければ、今は違っていたんだろうか?

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