第83話

「ホントに・・・私なんかでいいの?猛ならもっと良い子が沢山いるよ?」



視界の悪くなった瞳で、猛をしっかりと見据える。




「他の子なんていらない。俺は美香が欲しい。だから、俺の彼女になって俺を幸せにして。」



「フッ・・・俺を幸せにしてって・・・ふつう反対でしょう?」



って笑えば、




「だって、本当の事だもん。美香を幸せに出来る自信はないけど。俺が幸せになる自信はあるよ。」



そう言い切った猛を信じてみたいと思った。






彼なら、心の底から愛せる様になるんじゃないかと思った。











「猛、返事をする前に聞いて欲しい事がある。」




だから話そうとと思う。






私が本気で人を好きになった事がない人間だと言う事を。






「うん・・・何でも聞くよ。」



猛が手を掴んでくれたから、静かに深呼吸して今までの自分の事を話して聞かせた。






付き合っても長続きしない事や、本気で人を好きになれない事、好きと言う感情が分からない事、そして、寂しがり屋なで彼氏に依存してしまっていた事を話した。





これで、引かれたならそれでいい。






こんな軽い女・・・こんな重い女、誰だって嫌に決まってる。








猛の言葉を待った。





握られた手から伝わる暖かさに、胸が締め付けられた。






ホントは、この暖かい手・・・欲しかったなぁ。





でも、手に入れる前ならダメージも少ないし。



またいつもの私を繰り返せばいいだけ。










「で・・・美香はOKしてくれんの?」




「はっ?」





猛から出た言葉は、意外なモノで思わず口を開いたまま固まった。





「だから、俺の女になる事だよ!」



怒られた。





「えっ?でも・・・。」



困惑する美香に、猛は言葉を続ける。




「でもじゃなくって、俺は返事が欲しいの。美香が嫌じゃないなら、俺のになってよ。」



握られた手は力が込められた。




「いいの?私で・・・。話聞いたのに?」



「良いも何も、美香が欲しい。人を好きになった事がないなんて最高じゃん。俺が初めて好きになる男って事だろ?」




猛はどこまでもポジティブな男らしい。




嬉しくて止めどなく流れる涙。

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