第60話
それは、皐月を筆頭に、七瀬の周りの人間は気づいていた。
もちろん、七瀬本人もそれは分かっていたはずだ。
琥珀が新しい命を宿し、二人が前に進み始めた今、七瀬も新しい一歩を踏み出す時が来たんだ。
皐月はアドバイザーに目配せをして、少し琥珀達から離れた場所に2人で下がった。
そして、母親の瞳で琥珀と七瀬を見守る。
「琥珀。すごく綺麗・・・ホントに綺麗。」
そう言った七瀬の瞳に、薄らと涙が滲む。
「ナナ・・・ありがと。ありがとうね?」
琥珀の瞳にも涙が滲み始める。
「ホントは、僕が着せてあげたかったなぁ?」
冗談めかした七瀬の言葉に、琥珀は七瀬を見上げる。
「・・・・・・。」
「嘘だよ?そんな困った顔しないで?」
琥珀の頬に添えられる大きな手。
ホントは本気・・・俺が君にこの白いドレスを着せたかった。
そして、僕の隣を歩いて欲しかった。
本心を胸の奥にしまい込む。
「・・・・ナナ。」
「琥珀にドレスを着せるのが、リク兄でよかった。他の人だったら、このまま本気で連れ去ってた。」
半分本気で、半分嘘。
「リクじゃなきゃ、着なかったよ?」
そう言った琥珀に偽りはない。
「うん。そうだと思う。当日、リク兄驚くよ?琥珀がこんなにも綺麗になってたら。」
「ホント?」
「うん、保証する。幸せになるんだよ?」
「うん、保証する!」
「こら!真似すんな!」
意地悪く微笑む七瀬。
「ナナも、幸せ見つけてね?」
本心からそう思う。
ナナにもナナを心から支えてくれる人が、見つかりますように!
「もちろん、見つけるよ?僕、こう見えて結構モテるんだからね?」
「分かってる。」
「ホントに?」
「うん、ほら、今でも周りの女の子はナナに釘付けでしょ?」
琥珀が周りを見回すから、七瀬も同じように見回した。
彼氏持ちの女の子ばかりなのに、視線が合うと皆一様に顔を赤らめた。
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