第55話
「琥珀ちゃん、これこれ!これ着ましょう!」
やたらテンションの高い皐月さんに、次々と進められるウエディングドレス。
式場のアドバイザーさんと苦笑いしつつ、着せ替え人形となる琥珀。
そうです、本日は一か月後の迫った結婚式の衣装合わせです。
悪阻のマシな日を選んでやってきました。
他の新婦さんもいる中、衣裳部屋はほぼ皐月が占領状態。
ホント・・・すいません。
琥珀は、ヘコヘコと頭を下げつつ皐月に振り回されております。
琥珀実家にあいさつに行ってから、両家の顔合わせが済み。
あれよ!あれよ!と言う間に、皐月の知り合いの結婚式場に決まり。
『お腹が目立つ前に可愛らしいウェディングドレス着なきゃ!』と皐月に押し切られ、プロポーズから3か月ほどで式を挙げる事になった。
雪の舞い散る季節に、琥珀は六織の生涯の伴侶となる。
「琥珀ちゃんは背が低いからショート丈のフレアドレスの方が可愛いわよね?」
どこから取り出してきたんですか!と突っ込みたくなるほど、ショート丈のウェディングドレス。
レースと細かいフレアーがすっごく可愛いけど・・・。
短すぎますって!
リクが見たらキレちゃうよ!
「あ・・・皐月さん、さすがにそれは・・・。」
眉を下げてそう言うと、
「あら?ダメ?これ可愛いと思うのになぁ。」
そんな子犬みたいな目をしてもダメです!
式当日に、黒い魔王の降臨なんてまっぴら御免なんです。
そうです、本日はリクはいません。
一緒にドレス選びをすると言った六織を皐月が無理やり跳ね除けた。
『男はドレスなんて選ぶもんじゃない!当日に見て感動するべきよ!』
なんて上手く丸め込まれてた気がする。
実際は、皐月が琥珀と女同士で選びたかっただけらしいけど。
皐月の黒いオーラに逆らえない六織は、渋々付いてくる事を諦めて会社に行ったのです。
こんなドレス来たら、絶対に魔王が降臨する。
皐月が嬉しそうに見せて超ミニのウェディングドレスを見て静かに溜息を付いた。
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