第20話
2年前の俺は琥珀に・・・・・救われた。
六織が引退後すぐに、この街を離れた。
その時の琥珀は見てられないぐらいに落ち込んでいった。
七瀬がいつも付き添う様になって、あいつらがくっつくんじゃないかって思ってた。
俺は琥珀が悲しみから抜け出せるなら、それでも良いんじゃねぇか?と思ってた。
内情を知らない奴らからすりゃ、すぐに乗り換えただの、浮気だの、くだらねぇ噂を囁く奴らもいたけどな?
琥珀が元気になるなら、それで良かった。
あの笑顔を取り戻す為なら、どんな力も使ってやりたかった。
本当は、俺が笑顔を取り戻してやりたかったけど・・・。
俺だって、あいつの事が好きだったからな?
でも、俺の好きの大きさは、六織や七瀬の足元にも及ばなくて、封印する事に決めた。
一生封印するって決めた時から、俺は琥珀の最高の友達になると覚悟したんだ。
少しでも、笑顔になれる手伝いをしてやりたかったから。
俺じゃ、本当の笑顔を引き出してやる事が出来ないからな?
でも・・・うちの学校の文化祭の日を境に、琥珀は完全に七瀬から離れた。
当然、俺達は全員驚いた。
七瀬は今まで見たことがないぐらい荒れて行ったし。
琥珀も俺達銀狼メンバーさえ避けはじめた。
2人の間に何があったのかは分からなかったけど。
この時の琥珀は自分の足で一歩を踏み出そうとしていたんだ。
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