第6話
「またそんな事をおっしゃる。」
翡翠を一瞥した棗。
「あの人は苦手なんだよ。昼食会には棗も参加だよな?」
頼むから、の意味を込めて聞いてみる。
「わ・・・私ですか?」
棗は少し驚いた表情をする。
「あぁ、お前も参加決定な?じゃねぇと、行かねぇ。」
「子供みたいな事を言わないでください。今回はお2人でと・・・。」
「無理だ!あんな化粧臭い婆と、2人っきりなんて絶えれるわけねぇだろ?お前は俺が死んでもいいのか?」
棗の言葉を遮った翡翠。
「大げさな・・・。それぐらいじゃ死にません。」
呆れ顔の棗。
でも翡翠もここで引くわけにはいかなかった。
「な、決定だぞ!」
「でも、牧村様がなんと仰るか・・・。」
言葉を濁す棗。
あのばばぁなら、無茶な事もいいかねぇないしな?
棗を連れて行っても可笑しくない言い訳なないか?
翡翠は必死に考える。
エレベーターが一階についても、歩きながら考えた。
どうすれば、あの毒牙にかからずに済むのかを・・・。
社長車の後部座席に乗り込んで閃いた。
「おい!棗!お前も後ろだ!」
助手席のドアから乗り込もうとしていた棗が動きを止めて翡翠を見た。
「はっ?何をおっしゃってるのかわかりません。」
冷静に対処する棗。
翡翠がとんでもない奇行に出るのは今に始まった事じゃないからだ。
こと、琥珀の事になれば仕事放り出してでも駆けつけるし、予定外の行動を取ったりする。
なので、棗は慣れているのだ。
「つべこべ言わずに、隣に乗れ!」
そう言われて、
「それは社長命令ですか?」
と聞く。
「あぁ。」
と言われ、渋々ながらも後部座席の翡翠の隣に乗り込んだ、棗。
「待ち合わせの場所は、ここから何分だ?」
「そうですな、20分と行った所でしょうか?」
「今は何時だ?」
「12時10分です。」
棗は時計を見ながらそう言った。
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