第13話

その時、隣から携帯の着信音。



翔先輩がポケットから携帯を取り出し耳に当てた。





「はい。…下っス。は?ええ、ーーーわかりました」



途中で翔先輩がこちらに視線を投げた気がした。



電話を切ると、よっと声を出しながら翔先輩が立ち上がった。

で、見下ろしながら俺の肩をたたいた。



「姐さんをマンションに送り行くぞ」



言うなり、俺の返事も待たずに歩き出す。



……は?



姐さんの名前に鼓動が速くなる。



「俺も…すか?」



「ああ、お前も連れてけってさ」



後を追う俺からはその表情は見えないが、声は少し笑いを含んでるように聞こえた。



そのことに、誰が?と聞きたくなる。



ま、聞かなくても彼女に関しての決定権があるのは

あの人だけだ。



新城組若頭、新城祐樹。

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