第6話
「・・・好きな相手の傍に居てれるんは、幸せな事やと思う。皆が皆、そう出来る訳やないと思うから、うちは今を大切にしたいと思ってる。」
うちはそう言って恋季を真っ直ぐに見る。
恋季にも決断して欲しいから。
恋季にも勇気を出して欲しいから。
普通やったら、こんな恥ずかしい事言えないけどな?
「・・・・・紫音、ほんまに幸せそうに笑うようになったな?」
恋季が綺麗に微笑んだ。
「うん。影虎と出会えたからやと思ってる。ううん、影虎だけやない、チームCROWの皆と出会えたからやな。」
心からそう思う。
周りの強力や助けがなかったら、うちは今、ここには居てへん。
「俺達もしおちゃんのおかげで変われたよ。」
テーブルに運んできたカップとケーキを並べながら啓太が微笑んだ。
「そんな風に言われたら嬉しい。ありがとう、啓太。」
照れ臭そうにそう言えば、
「こちらこそ、ありがとうだよ。」
並べ終えた啓太はそう言って、元のソファーに腰を下ろした。
「うちは大切な居場所を見つけて、大切な人達と出会えた。今度は恋季の番やで?勇気を出して自分の居場所を手に入れて。」
眠る影虎の髪を優しく撫でながらそう伝える。
「・・・大阪で紫音に約束したのに、勇気が出なくて先延ばしにしてた。今度こそ・・・本気ださな・・・あかんな?」
恋季はバツが悪そうに目を伏せた。
「そうやで?うちにくれた勇気。今度は恋季に渡すから、頑張れ!自分の心に正直になって欲しい。」
恋季が幸せになる未来は、すぐそこにある。
少し勇気を出して手を伸ばすだけでいい。
「恋季ちゃんなら、大丈夫。それに俺達もついてるよ。」
優しく微笑む啓太。
「啓太の言う通りや。恋季は一人やないで?」
そう、うちらがついてる。
恋季が一歩踏み出す為に背中を押して上げる。
やから、頑張って踏み出して。
「紫音、啓太、ありがとう。なんか、勇気出たかも?」
照れ臭そうに口角を上げた恋季。
その瞳はもう迷って無かった。
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