第5話
「愛されてて羨ましいな?」
恋季は悪戯っ子みたいに目を細める。
「・・・恋季。」
冗談めかして言ってるけど、恋季も愛される事を望んでるんやでな?
もちろん、征四郎に。
チャラくて遊び人の征四郎。
女にだらしなくて、来るもの拒まずで。
他人から見れば最低な男。
でも、側で見てたうちらは征四郎の思いも、抱える闇も知ってる。
寂しがり屋で優しくて、暖かい奴やって分かってる。
恋季が惚れたんも、他人に見せてる偽物の征四郎やない。
うちらが知ってる本当の征四郎や。
初めて出会った時から女遊びの激しかった征四郎。
ほんまやったら惚れる要素なんて無かったんかも知れへん。
それでも、恋季は征四郎の良さを見て、本物の心を知って惹かれた。
素直になれなくて、いつも近くで征四郎が他の女を抱くのを見てた恋季。
辛そうでうちの方が胸が張り裂けそうやった。
征四郎への思いを押し殺す為に、好きでもない相手と付き合ったりもしてた。
それでも、征四郎が忘れられずに、影で泣いてた事を知ってる。
征四郎だってそうや、恋季が気になる癖に気のない振りをしてた。
二人は互いを思いあって距離を取ってた。
相手の幸せを願って身を引いてた。
ほんまに不器用な二人。
アドバイスは出来ても、二人の中に他人が踏み込むことなんて出来なくて、いつも歯がゆい思いをしてた。
人を好きになった事の無かったうちは、いつも指を銜えて見てるだけしか出来なくて・・・。
恋季はほんまに幸せになって欲しい。
もう、影で泣かんといて欲しい。
影虎と出会って思いが通じ合う喜びを知った。
好きな人の側で過ごす幸せも知った。
やからこそ、二人にも幸せになって貰いたいと思うねん。
影虎と出会うまでのうちには、恋愛なんて分からへんかった。
でも今は違う。
前までとは違った形で二人の協力が出来るはずやと思ってる。
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