第13話

正直、あのときはそれどころじゃなくて、どんな話をしていたのか、なんて覚えてない



確かにそんなことを言っていたような気もするけど


まだ冬夜の気持ちもわからない頃で


葉月ちゃんの積極さにすごくイライラしていた



だけど、あれからたいして進歩してないような気もするな…



お互いの気持ちがわかったところで、結局は素直になれない私



いろんなことで葉月ちゃんに負けてる気がしてならない



「雫、帰るよ」


冬夜が握った手にキュッと力を入れる


「ん…」


気づけば涼太も芹香ももう改札口のそばに立っていて、こっちを見ていた

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