第50話・ここまでは〜ジュン目線〜
あの皇子は何なんだ!!
俺のロゼリアを呼び捨てで呼んで俺の国に来い!?って考えただけでも腹が立ちながら今、俺は皇女の治療を施してる。
「聖人様?どうかしたのですか?」
「なんでもありませんよ。皇女様」
表情にも顔にも出さしてないつもりでいたのに皇女にはバレてるのか?と思いつつ心の中は荒れに荒れてる。
「聖人様、治ったらまた走り回れますか?」
「えぇ、走り回れますよ」
ロゼリアが椅子を用意してくれたから楽に術が安定して送れているが皇女の病気が邪魔してるのか上手くいかない。
「国中のお医者様にお手上げされてしまったんです」
「……」
「だから、隣国に手紙を送って聖人様に治してもらおうと思ったんです!」
どれだけ不安な夜を過ごしてきてどれだけ涙を流してきたのだろうと感じ取って術を徐々にだけども最大限に出力し始める。
「皇女様を必ず完治させて自国に帰しますので安心して下さい」
「はい、聖人様」
皇女はそう言うと喋るのをやめて俺に身を任せると同時にロゼリアの顔が浮かんできた。
〈アイツはどんな反応するだろーな〉
プクッーと頬を膨らませて怒りながら俺を叩いてグチャグチャなブサイクな顔で俺を優しく見つめるんだろうなと笑いながら術にも集中させると上手く流れ込み始めるからそこに焦点をあてて術を一気に流し込む。
「……っ!!」
「……様!!」
まばゆい光が皇女を包んで俺は誰かに呼ばれながらもゆっくりと意識が飛んでいくけど薄れゆく意識の中、温かいのに包まれたから俺は生きるんだと思って意識が途絶えた。
「……ん!」
「……」
フワッと上昇させるような感覚から自分の身体に戻った感覚になり遠くから声が聞こえてきて目を開けるとグチャグチャでブサイクで涙を溜めてるロゼリアの顔が映る。
「…リア」
「ジュンさん!!気が付かれましたか!!」
手を伸ばすとロゼリアの頬に触れてロゼリアは俺の手に重ねるけど涙が止まらないらしく流れてる。
「良かったです…。目が覚めて安心しました」「俺は…どのくらい眠っていた?」
「四日も眠っていましたよ、ジュンさん…」
俺は四日も眠りに付いていてその前に皇女に術を施して…そこから先の記憶が曖昧で…。
「皇女はどうなった!?」
「大丈夫ですよ。ジュンさんの治癒術と癒やしの術で皇女様は完治しております」
「そうか。最大限に術を使って良かったって事か」
そう言うとロゼリアは、頬をプクッーと膨らませて怒ったような顔をするから俺は笑う。
「自身の命を大事にして下さい!生きた心地しなかったんですから!」
「ロゼリアが助けてくれると思っていたよ」
あの温かみはロゼリアの治癒と癒やし。
だからこそ、俺は死なずに生きて帰ってこれた。
「ジュンさん、私を一人にしないって約束して下さい」
「約束は出来ないな。でも、離さないとは約束出来る」
ロゼリアの顔が近付いてきて目を閉じる彼女とキスをしてやっと彼女の傍に帰れたんだと思った。
「お帰りなさい、ジュンさん」
「あぁ、ロゼリア」
もう一度キスをしようとしたら俺の部屋の扉のノック音が響き、慌てて俺から離れるロゼリアで俺は起き上がって向かえる。
「はっ、はーい!どうぞ」
「聖人様は、目覚め…!」
扉から現れたのは大司教とその関係者。
「聖人様!お目覚めになられたのですね!心配しておりましたけど一安心です」
「大司教様、ロゼリアさんから聞きました。皇女様、完治したみたいで安心しました」
「はい!聖人様の偉大なお力で第二皇女様は完全完治されました!」
大司教と関係者は俺に頭を深々と下げるけど、ロゼリアとのキスを邪魔しやがって…夜にキスをたくさんしてやると思っていたら遠くから声が聞こえてきて部屋に入って来た。
「聖人様ー!!」
皇女様が走って来てベットの上で起き上がっていた俺に抱きついた。
「治していただいてありがとうございます!」
「皇女様、完治したみたいで良かったです」
「皇女ー!!」
皇子が入って来ようとしたけどソロリソロリと俺の部屋に入って来て俺を見る。
「獣耳!皇女を治してくれて感謝する」
「完治に至って本当に良かったです」
皇子には大人としての対応はこうだと分からせないと。
「ロゼリアさん、着替えるので手伝ってくれますか?」
「あっ、はっ、はい」
「第二皇子様、第二皇女様。聖人様が着替えるのでお部屋から出ましょうか」
二人は大司教様に連れられて部屋には私と聖人様の二人きりになる。
「ロゼリア」
「なんですか?ジュンさん」
ベットから降りてロゼリアを抱きしめると彼女も俺を抱きしめる。
「今後もあの二人に振り回されそうな嫌な予感しかしねーよ」
「ふふっ…そうですね」
四日以上、ロゼリアを抱きしめられなかったから今もこれからも充電させてもらう。
「ロゼリア、俺を癒やせよ」
「はい。ジュンさん」
俺の癒やしはお前しかいなくてお前も俺しかいなくて唯一無二の存在がこんなに近くにいてくれる事が凄いなんて初めて知ったし、コイツに「愛してる」なんて囁かねーけどな。
獣耳聖人(仮)×お世話係令嬢 @B4RS
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
参加中のコンテスト・自主企画
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます