第49話・本当は触ってみたい?
獣耳が大好きな第二皇女様と獣耳が大嫌いな第二皇子様が今日から皇女様の治療の為に三日ほど滞在する事になった。
「聖人様と昼食を食べれるなんて嬉しい!」
「ロゼリア、俺と食べれるのを光栄に思え」
聖人様は、第二皇女様に気に入られてるのは分かるけど…どうして私は第二皇子様に話しかけられてるの?
「ロゼリア!俺の所にお茶がないぞ」
「はい、皇子様」
さっき使用人が全員分用意していたと思ったけど気のせい?と思いながら第二皇子様にお茶を注ぎ置く。
「ロゼリア、俺の隣で食べるだろ!話に付き合え」
「…はい」
聖人様と第二皇女様が話をしてるから間に割り込む事は出来ないから私は第二皇子様の話し相手に必然的になる。
「ロゼリアは、何が好きなんだ?」
「好きなモノですか?苺です」
聖人様が大好物なモノは、私も必然的に好きになる。
「苺を送ったら俺を好きになるか?」
どうしてそういう頭の回路になるのか分からないけどポジティブ過ぎて尊敬しちゃうけどここは、隣国の皇子様だろうとキッパリスッパリ断らないとダメよねと優しく伝える。
「皇子様、申し訳ございませんが私には心に決めた人がおりますのでお断りします」
言った瞬間、シーンと空気が静かになり冷や汗がダラダラ出てきて、やらかしたぁー…と後悔した。
「ロゼリア!」
「ひっ!はいっ」
第二皇子様が私の名前を呼んだから慌てて返事をしたら大きい声で皇子は笑う。
「俺を断るなんて女いなかったぞ!気に入った!俺の国に来い!」
「皇子様…お断りします」
ニッコリ笑って拒否したけど、第二皇子様は人の話を聞かない男性だったと分かった。
「あのお兄様に気に入られるなんて…」
第二皇女様がそんな事を言ってるのは露知らず私は第二皇子の扱いに困っていた時に使用人がワゴン車を持って来た。
「聖人様、昼食の片付けが来ました」
「ロゼリアさん、午後も椅子の用意をお願いしますね」
「はい、聖人様」
第二皇子様から離れて聖人様の近くにいると彼は近付かずに周りをウロウロしてる。
「ロゼリアって名前なのね。治療中はロゼリアにお兄様を任せるわ」
「はい、皇女様」
第二皇女様が治療中、私に任せるって事はまた第二皇子様が喚くとうるさいから相手をしろって事なんだよねー…と考えるだけで重くなる。
「皇女様、お茶を飲み終わり次第治療を再開しましょう」
「えぇ、聖人様」
聖人様、少し
「ロゼリア!皇女の治療中は暇だから俺に付き合え」
「皇女様からも言われましたからお付き合いしますけど何処にですか?」
隣国の第二皇子様相手に面倒くさい感じは出しちゃダメなんだろうけど正直本当に面倒くさく自分で好きな所に行ってくださいって言いたくなる。
「お前の行きたい所でいいぞ!俺は心が広いからな」
「そうですか。…なら」
聖人様と第二皇女様は治療場所へ向かったのを見送って第二皇子様が行きたい所に行かせてくれたので私はここで聖人様を見守る事にした。
「ロゼリア!ここで良いのか?もっと他に…」
「ここで良いのです。聖人様に治療を集中して欲しいので水晶で覗きます」
「…二人きりだと思ったのに…大司教も、いるとはっ…」
二人きりになる
「聖人様、治癒と癒やしを出されて今も術を出されて安定してるのは凄いです」
水晶が映し出して聖人様が術を発動しているのが分かる。
「獣耳のくせにっ聖人様なんてありえねぇー」
「第二皇子様。獣耳の聖人様は何百年前にも現れましたから出現は稀になります」
獣耳って言うからやっぱり好きになれないし、本当は口も聞きたくないけど外交問題に発展したら大変だから抑えるけど…。
「獣耳でも、聖人様は真摯に向き合ってますよ」
第二皇子様が水晶を覗き込むと楽しそうに話をしてる第二皇女様と聖人様の姿が映るけど話しの内容までは分からない。
「あんなに嬉しそうなお顔を見るのは久しぶりですね」
「皇女は、獣耳が昔から好きなんだよな…」
第二皇子様は本当は獣耳に触ってみたいのかしら?と思ったけど「穢らわしい!野蛮だ!」の言葉を撤回してなおかつ聖人様に謝ってからだわ!と思った。
「ロゼリア、俺は絶対に獣耳が聖人なんて認めてないが妹の治療だけは目を瞑るが他は瞑らないからな!」
「そのお言葉を聖人様に直接言ってはいかがですか?」
提案したら第二皇子様は首を振る。
「なんで俺が獣耳に頭を下げないといけないんだ!獣耳が俺に頭を下げるのが普通だろ!」
やっぱり好きになれそうにないこの皇子様。
第二皇女様の治療が早く終わって早く自国に帰れば良いのにって思っちゃう。
「ロゼリア、獣耳の事はこれで終わりだ!お前の事がもっと知りたいぞ!」
「皇子様!皇女様が治療に向き合ってるんですよ?少しは水晶を覗いて下さいね」
「獣耳と楽しく喋ってる皇女なんて見たくないね!」
本当にわがままな第二皇子様だなー…。
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