第46話・フランワの処分は…
フランワさん…球根って聖人様と庭で土いじりでもするのかしら?…ってんなわけ無い!
「……っ」
こっちの
「ジュン!婚約してるって嘘でしょ!いったいいつからなの?相手は誰?」
「婚約はつい最近ですよ。相手は秘密です」
聖人様は、着替え終わって椅子に座るから私は黙って椅子の後ろに回って仕えフランワさんは私にも聞いてくる。
「ロゼリアさんは誰か知ってるのよねっ!?」
「申し訳ございませんが聖人様のプライベートまでは把握しておりません」
ニッコリ笑って言い切ったわよ、私!
全部を把握してるわけじゃないのは確かなんだけどジュンさんとここ数日はいつも一緒にいたし、「婚約したのは私なんです」なんて言ったら発狂されそうでフランワさんは爪を噛んでる。
「わ、私がジュンの婚約者になるのよ…」
「ありえませんね。貴女と婚約するなんて天地がひっくり返ってもしません」
聖人様は冷たい口調と冷たい目でフランワさんに言い切った。
「ジュン…私が悪かったの。ジュンー」
「フランワ嬢、聖人様を名前呼び兼呼び捨てとは聞き捨てなりませんね」
「大司教様、おはようございます」
ガチャッと扉が開き大司教様が入ってきて強い口調で言った。
「貴女は聖人様のお世話係なのになんたる失態でしょうか…」
「謝りますわ!聖人様、申し訳ございません」
フランワさんが慌てて頭を下げ聖人様は、大司教様の方を向き言葉を発する。
「大司教様、僕もフランワさんの言葉に答えていたので…彼女の処分は二十日間お世話係から外れて使用人として扱うはどうですか?」
「…聖人様がそれで許可を出すならそれに従います。処分はいつからにしますか?」
「今日から」
フランワさんは、聖人様の言葉通りに今からお世話係から使用人に格下げになった。
「酷いですわ!使用人なんて…聖人様に会えないなんて…!!謝りますわ!」
「僕は清々しいです。使用人のお仕事頑張って下さい」
「聖人様ー!!お赦しを…!お赦しを!!」
フランワさんは泣きながら教会関係者に連れて行かれ、大司教様、聖人様、私の三人になった。
「ロゼリア嬢には、今日から二十日間一人でお世話係をこなしてもらいますのでよろしくお願いします」
「はい、大司教様」
聖人様を呼び捨てにしちゃいけないんだと今更だけど気付いたけど、私…エッチの最中に呼び捨てと二人きりの時に名前呼びしてない?と不安に駆られるけど空気が一気に変わる。
「聖人様、ご婚約おめでとうございます」
「大司教様、ありがとうございます」
大司教様がニコニコ笑って祝福してくれてるけど聖人様を見て私の顔を見る。
「婚約したお相手はとても可愛らしいお方なのですかな?」
「そうですね。逃がしたくないって思ったんですよ」
「そうですか。結婚しても続けられますからお相手の方にもそう伝えて下さい」
大司教様はそう言って椅子から立ち上がって扉の前で聖人様に伝える。
「聖人様、もうじき朝食時間になります」
「はい、分かりました」
大司教様はそれだけ言って部屋から出て行き、すかさずに聖人様が私を呼び彼の傍に行く。
「!!聖人様」
「二人きりだろ。ロゼリア」
フランワさんが今日から二十日間不在で二人きりが多くなる事に半分嬉しくて半分謝罪な気持ちになる。
「ジュンさん…私…」
「どうした?ロゼリア」
私の顔を見て不思議な顔をするから恥ずかしくても伝えようと決めたから伝える。
「エッ、エッチの時に呼び捨てにしてませんか?それに今も名前呼びしてるし…」
「してるよ」
私もジュンさんを呼び捨てだから処分じゃん!って思ったら彼からチュって軽いキスをされた。
「ジュンさんっ!!不意打ちはダメ!」
自分の口を押さえて慌てて周りを見回す。
「二人きりの時は俺を名前呼びするように約束しただろ?婚約者のお前は俺を自由に呼べるんだよ」
「ジュンさん!大好き!」
「はいはい」
「ジュンさん…大司教様に婚約を祝福してもらってましたね!」
「相手はお前ってバレていたな」
「えっ?やっぱりそう思いましたか?」
「まぁ、でもこれでやりやすくなった」
ジュンさんを抱きしめると彼も抱きしめてくれた。
「ジュンさんの為に精一杯働きますね!」
「程々にしろ。夜は俺の為にあけておけ」
ジュンさんとキスをしようとしたらノック音がして慌てて離れると彼は舌打ちをしたけど聞かなかった事にした。
「聖人様、参りましょう」
「そうですね。ロゼリアさん」
部屋から出て朝食の場所に向かい途中で、フランワさんが使用人の服を着て私達が通り過ぎるまで頭を下げていた。
「よく似合ってますよね、使用人の服」
「聖人様っ!」
フランワさんを通り過ぎた所で聖人様が言ったのでドキマギした。
「彼女に罰を与えるのは使用人がいいと思っていたんですよね」
「前々から考えていたんですか?」
「えぇ。もちろんロゼリアさんにも考えてますよ」
聞かなかった事にした方がいいと瞬時で悟った。
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