第44話・ジュンの治癒の術と癒やし術
聖人様にずっと悶々としていた廊下の件の事を聞けて肝心な聖人様が言った言葉を聞き逃して逃げた自分がバカじゃん!と思って昼食のお皿を片付けていて昼食が終わり一息ついていた所に大司教様が訪ねてきた。
「聖人様に、治してもらいたい方がお見えになられました」
聖人様は、すぐに立ち上がって大司教様に私達も着いていき、病人がいる部屋に向かった。
「こちらが治していただきたいお方です」
ベッドに寝かされている方は性別は男性で肌は青白く呼吸も息絶え絶えで苦しそうにして目だけをギョロギョロ動かして苦しいのを訴えてきてる。
「初めまして、ジュン=コリカサンと申します。今から治療をさせていただきます」
聖人様がその方に近付いて挨拶をして手をかざすと青白かった色が少しずつだけど肌色に変わっていき呼吸を肩でしていたのが鼻と口で呼吸をするようになっていくから治癒術を使っているんだと見ていて思った。
「少しは楽になったと思いますがもう少し我慢していて下さい」
聖人様が続けて癒やしの術を発動させてるみたいだけども彼がその場にいるだけで癒やしの術が発動するのは気付いていないのだろうか…と不安に思っていて見ていたけど患者さんは苦しそうに歪んでいた顔に歪みがなくなり安心しきった顔に変わっていて寝息をたてて男性は眠りについていた。
「聖人様、もう一人治していただきたいお方かまいますのでこのままお願いします」
「…どうぞ。連れてきて下さい」
男性は教会関係者に連れて行かれて入れ違いで遠くで赤ちゃんの泣き声が聞こえてきて部屋に入って来た。
「赤ちゃん?!」
大司教様が次に連れてきたのはお母さんに抱かれて大きい涙をポロポロと零してずっと泣いてる赤ちゃん。
「痛かったですね。すぐに痛いのを取りましょう」
赤ちゃんの傍に行き、視線を合わせると少しだけ泣き止む赤ちゃんに優しく伝える光景を見てジュンさんとの赤ちゃんがいたらとても楽しそうでにぎやかになりそうな家族になるなって思ってお腹をそっと触った。
「…もう大丈夫ですよ」
聖人様が赤ちゃんに治癒の術を全身にかけるとピタリと泣き止んで今度は笑い出し、彼の指を小さな手が握る光景にホッコリする。
「聖人様、ありがとうございます!ありがとうございます!」
「痛いの治って良かったですね」
赤ちゃんは笑顔になっていてお母さんは何度も頭を下げて去って行って安堵して聖人様を見たら息が少し早い気がして傍にかけ寄った。
「聖人様、お疲れ様です。椅子をご用意しております」
聖人様は、何も言わずに私の手を取り椅子に座り私は横に立つ。
「聖人様!素晴らしい癒やしの術、治癒の術をご確認させて頂きました。そして、同時進行で両術をかけてー」
「
大司教様の言葉を被せて聖人様が口を開く。
本題って何?これは序章に過ぎなかったって事なの?二人だけでも術を使って体力消耗してるのは目に見えてるのにと不安に思っていた。
「明後日、大事な客人が参られます」
大司教様初め、関係者達が聖人様に膝まづく。
「聖人様の力で治してほしい所存でございます」
よっぽど大事なお客様なんだと空気で分かる。
聖人様は黙って聞いていたけどとうとうその場で喋る事はなかった。
「今日はお疲れ様でした」
「聖人様〜お疲れ様でしたわ」
待機部屋に戻って来てからも黙ってる聖人様に
フランワさんは聖人様の隣に座ってベタベタ触っていて彼が口を開く。
「フランワさん、それ以上触るなら貴女だけでも永年長期休暇もらいますか?」
「聖人様ったら、恥ずかしがり屋さんなんだから」
フランワさんは、彼に触れるのをやめてブツブツと隣で何か言っていて聖人様は怒ってる?考え事してる?…どっちか分からないけど近付いちゃいけないのは分かったからお茶を持ってくるのを理由にして部屋を出ようと思った。
「聖人様、お茶をもらってきます」
「フランワさんが持って来て下さい」
フランワさんは文句を言いながら部屋から出て行き二人っきりになった。
「ロゼリア」
「!!」
呼び捨てで呼ばれてドキッと高鳴り聖人様の傍に行くと抱きしめられた。
「せっ、聖人様っ!!」
「今は二人きりだ。俺の名前を呼べ」
ジュンさんと一緒にいてまだまだ日が浅いけど自分の気持ちを伝えて抱きしめる。
「ジュンさん、好きです。大好きです」
屈んでジュンさんにキスをするとそれに応えて返してくれるから癒やしてあげたくて貴方には私が傍にいるよって感じてもらいたい。
「俺をもっと癒やせよ」
唇が離れてジュンさんが甘えてくる姿にキュンってしちゃう。
「フランワさんが戻って来ちゃいます…」
「なら後でな。たっぷり癒やしてもらう」
ジュンさんが私で癒やされるならなんだって頑張れるし、なんだって出来ちゃう気がするから大好きな人が出来るって凄いことなんだね!って初めて感じるよ、ジュンさん。
「戻ってこねーから俺にキスしろよ」
「…もう一回だけですからね…?」
私達は甘いキスをした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます