第36話・ウダン家にお邪魔します

「ジュンさん、本当に両親に挨拶するのですか?」

「するけど?」


今日は、ジュンさんも何故か同行して私にとっては久しぶりの家で、彼にとっては初めての訪問。


「見えてきました!あの家がウダン家です」

「白い屋根のお家ですね」

「はい!」


昨日、「ジュンさんの初めてが欲しい」と言ったけどウチに来るの初めてで嬉しいと心躍らせていたら着いたけど使用人総出と両親が玄関にいた。


「熱烈な歓迎ですね」


ずっと傍にいたから忘れていたけどジュンさんは聖人様だった!と思い出した。


「聖人様!ようこそお越しくださいました。ウダン家にようこそ」

「ようこそお越しくださいました、聖人様」


お父様の挨拶の後に使用人全員が挨拶を大きい声でしてビックリしたけど気を取り直して両親に挨拶する。


「お父様、お母様。ただいま戻りました」

「お帰りなさい、ロゼリア」

「お帰り、ロゼリア」


ジュンさんも馬車から降りお父様が彼に近付く。


「聖人様、ようこそお越しくださいました。今か今かとお待ちしておりました」

「ウダン伯爵、ジュン=コリカサンと申します。歓迎をありがとうございます」


ジュンさんがお父様に挨拶しただけなのに涙を零していてお母様が文句を言っていた。


「あなたったら、ずるいわ!聖人様にご挨拶されるなんて!私もしたいわ!」

「私はこの家の主人だから挨拶するのは当然だろ!」

「…マイペースな両親で恥ずかしいです…」

「どうしてですか?ロゼリアの大事な両親だから僕も大事にしたいですよ?」

「ウダン伯爵夫人。ジュン=コリカサンと申します」

「まぁ、聖人様。ようこそ、ウダン家に」


母は、少女のように照れていて両親二人に挨拶してくれるジュンさんに嬉しくなった。


「ささっ、部屋の中にどうぞ。聖人様」

「失礼します」


ジュンさんが部屋の中に入り居間に案内されて長椅子に座り、私もジュンさんの隣に座り、両親は対面に隣同士に座り、彼の隣に座るといつも通りに尻尾が私の後ろに回り込む。


「本当に、虎族なんですね!ピヨッコッてした耳に長い尻尾…なんて綺麗なんでしょうか…」

「褒めていただきありがとうございます。耳も尻尾も手入れしています」


私も見た時は綺麗で可愛いなって思ったのはお母様譲りねって思いながら紅茶を飲んでるとお母様から爆弾発言が飛び出した。


「ロゼリアと聖人様との間に産まれる子供もハーフになるのかしら?」

「はい、なると思います。僕がハーフですから」

「まぁ!楽しみね!早く産まれて来ないかしら?」


産まれる子供って発言にビックリして紅茶を吹き出しそうになりまだ、ジュンさんとそこまでいってないから気が早すぎるとお母様にツッコみそうになった。


「聖人様、本ばかり読んでいた娘です。公爵夫人・・・・は務まるでしょうか…?」

「務まりますよ。母が伯爵でしたから大丈夫です」

「……?」


公爵夫人って何?話が全然見えてこなし、ジュンさんの奥様になる人はコリカサン家が公爵だから自動的に公爵夫人よね…と紅茶を飲む。


「ふつつかな娘ですけどよろしくお願いします」

「こちらこそ、大事な娘さんをちょうだいする事を許可してくださってありがとうございます」


お父様とジュンさんが立ち上がって握手して、話しがまとまったらしいけど最後まで話しの内容が分からなかったけども。


「これで聖人様が義息子・・・になるのね!嬉しいわ」

「お義母様。聖人様とは呼ばずに僕の名前を呼んで下さい」

「では、ジュンさんって呼ばせていただきますね」

「はい」


お母様とも和気あいあいで一人残される私だけどもお母様は今ジュンさんになんて言ったの?とお母様を見たら嬉しそうにしていた。


「ロゼリア、粗相のないようにな。私も聖人様を名前で読んで良いですか?」

「構いませんよ」

「ロゼリア。せ、ジュンさんに迷惑をかけるんじゃないぞ」

「……お父様に、お母様。何の話しをしてるのですか?」


ジュンさんに粗相も迷惑もかけてないつもりだけど改めて言われると自信なくしていたら両親はキョトンとした顔で私を見る。


「お父様?お母様?」

「何を寝ぼけてるんだ?お前とジュンさんの婚約発表・・・・だぞ?」

「そうよ、ロゼリア。何を寝ぼけてるの?早く起きなさい」

「えっ?今…なんて?」


何を寝言で言ってるのかしらねー?この両親はと笑ったら呆れ顔され、ジュンさんを見たら笑いを堪えていた。


「ロゼリア!耳をかっぽじってよーく聞きなさい」

「はい、お父様」


お父様はつばをゴクリと飲み込んで私の目を真っ直ぐに見つめ真剣な顔をするから私も唾を飲み込む。


「ロゼリアとジュンさんは今ここで婚約が決まったんだ」

「……えっ?」


そんな嘘だっーと思っていたら両親は真顔でジュンさんは今だに笑いを堪えていた。


「ロゼリア。本当に本当にジュンさんに失礼のないようにするんだぞ」

「ロゼリアなら大丈夫だと思うけど心配事はすぐにジュンさんに聞くのよ?」


だからジュンさんがウチに来るって言ったのかー…と思ったけどそれがまさか婚約だったなんて思いもよらなかった。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る