第26話・視察終了して…?

赤ちゃんが泣かなかった時は周りの人は諦めていたけど本で赤ちゃんを両足を握って逆さまにして思いっ切りお尻を叩いたら泣くと書いてあったから実践してみた。


「泣いてっ…泣いて!この世に生まれいでて」


願ってお尻を叩いたら微かにだけど小さな声が聞こえてきてその子を使用人に預けて続けてもう一人の赤ちゃんも同じ事をするとその反動で二人とも泣いてくれて尊い命が誕生するのを間近で見て感動していたら奥様に声をかけられた。


「お世話係様。…お名前はなんと言うのですか?」

「ロゼリアと申します」


赤ちゃん二人は急いで身体を拭いておくるみに包まれて一人は泣いて一人は静かにしていてお母さんに二人とも抱かれる。

そして、お弁当持参してジュンさんとお外で食べるお弁当は格別美味しいと思ったけど彼に聞いても曖昧な返事だったけどでも完食してくれて嬉しかった。


「…なんで馬車の中で私は追い詰められているのでしょうか…」

「ロゼリアが言っただろ?」


お弁当箱を馬車に置いていって聖人様と街並みを回りたいなって思ったら聖人様も馬車の中に入って来てカーテンを閉められて私ははじに寄せられた。


「私がですか?」


何を言ったのだろうと考えていたらジュンさんが不意打ちで私の頭にキスをしてきた。


「!!」


あまりにも突然過ぎてどう反応していいか分からなくなりドキマギする。


「ジュ、ジュンさんっ!?」

「面白い反応だな。これならどうだ?」


ジュンさんの顔が近付いてくるから慌てて目を瞑ると唇じゃない私の額にキスをするから慌てて目を開ける。


「ロゼリアは唇にキスして欲しいのか?」

「ち、違いますっ!」


慌てて否定したらジュンさんは笑ってる。


「ここでロゼリアの初キスを奪わねぇよ」


顔が熱くなるのを感じながらも緊張して耳元でドキドキが大きく高鳴ってるのも聞きながら彼の首に手を回して自分の最大限の色気で聞いてみる。


「ど…どうして初キスだって分かったんですか?」

「くくっ…聞いてる時点で暴露してるぞ?」

「……!!」


ジュンさんに言われて自分の言葉に墓穴を掘って何してるっ?!と思って誰か私を埋めてくれないかな?と思った。


「ロゼリアさん。そろそろ時間なので行きますよ」

「えっ?は、はい…」


聖人様は、首に回してる手を振りほどいて馬車から普通に降りようとしていて甘い雰囲気がすぐに現実に戻される。


「午後はどんな予定ですか?」

「…午後は領主様とお話しだけの予定で切り上げです」


馬車から降りようとすると聖人様が手を差し伸べてくれたから素直に受け取って馬車を降りるけど何故か笑ってる。


「なにかおかしいですか?」

「…ここで転んだら馬車から滑り落ちたお世話係って名前で有名になれますよ」

「そんな有名はお断りしますっ!エスコートありがとうございますっ!」


聖人様がエスコートしてくれなかったら私、滑り落ちていてそれを聖人様は先見の術で見てくれたって事?と感じた。


「気を取り直して行きますよ」

「はい」


領主様の家に向かう時も聖人様は領民達に手を振って応え目的地に着くまでそれが続いた。


「聖人様ー!」

「来てくださってありがとうございます!!」


午後も領民達の熱烈な歓迎に嬉しくなる。


「聖人様、午後もよろしくお願いします」

「有意義なお話が聞けると思っております」


領主様の家に入り客間に案内されて長椅子に聖人様と私が座り、対面の一人掛け用に領主様が座り二人は話し合いを始め書記も務める私は会話の内容を記録していく。


「…これで以上になります。聖人様に聞いてもらえて安堵しました」

「ここの領地の事を聞けて勉強になります。持ち帰って議題に掛け合います」


時間はざっと二時間程度だったけどお互い納得した顔をしている。


「…奥様の容態はどうですか?」

「出血も少なく、容体は安定していて今は眠っております」

「産後は母体にダメージが大きいので領主様の働きの見どころですからね!」


出産した事ないからイマイチピンと来ないけど本で読んで大変で命懸けと書いてあったからもし結婚して赤ちゃんが出来たら旦那さんに頑張ってもらうと決めていた。


「奥様にくれぐれもお身体をご自愛下さいとお伝え下さい」

「はい。必ず伝えさせていただきます」


聖人様は、お茶を飲み干して領主様を見る。


「我々は、そろそろ帰らせていただきます」

「もう、帰られるのですか?お見送りします」


時間的に帰るのは早い気がするけども何処か寄るのかな?


「お見送りは玄関で大丈夫です。呼んでありますので」


手配は私がしなきゃいけないのに!!と悔やんでいたら玄関先に馬車が待機していた。


「聖人様、お世話係様。お気をつけて」

「ありがとうございます。領主様も皆様もお気をつけて」

「お世話になりました」


聖人様が馬車に乗り込んで私も乗り込み扉が閉まり窓を開けて手を振り、領地を後にした。


「聖人様、少しって言うか凄くお時間が早い気がしますけど?」

「えぇ。寄りたい所があるんですよ」


何処に聖人様は寄りたいんだろう?

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