第25話・お昼休憩のひとコマ〜ジュン目線〜
領主の奥さんが産気づいたと聞いて慌てて領主の家に向かいベットにて力んでる妊婦を初めて見たけどロゼリアに部屋から締め出され廊下に男二人。
「仏様、神様、女神様、聖人様」
領主は、祈っていて俺の名前も出しても男の俺にやれる事は限られて領主を慰める事だけだ。
「僕のお世話係が傍に付いてます。無事に産まれてきますよ」
「…聖人様…」
ロゼリアが治癒の術と癒しの術を使えるならこの妊婦と赤ちゃんは助かると確信が持てる。
「…前の子は産まれても声をあげずに天使になったんですよ…」
領主がボソボソと喋りだし、だから子供達を見る目があんなに優しくて切ない目をしていたんだと感じた。
「やっとの想いで授かった我が子なんです!聖人様…どうか、どうか…」
泣き崩れ座り込む領主を見る事しか出来ない俺はロゼリアに託すしか手立てはなかった。
「いやぁぁー!!」
「!!」
「落ち着いて下さい、奥様!」
「いやぁぁぁー嫌よ!嫌よっ」
部屋から女性の悲鳴が聞こえ泣きすする声が聞こえてきて、部屋の中はバタバタと音が大きくなって領主はそれを聞いて力なく床に座り込んでしまった。
「…また…ダメ…だったのか…?」
「ロゼリア!」
ロゼリアの名前を叫んで呼ぶと部屋から微かにだけど小さな声が聞こえてきた。
「…ぁ…ほぎゃあー、ほぎゃあー」
「!!」
今度は力強い声が大きく聞こえてきて俺は領主を立たせて二人でゆっくり扉を開けて入ると女性が産まれたばかりの包まれた赤ちゃんを左右に抱っこして笑ってる。
「あなた…男の子と女の子よ」
「うん…うん!よく頑張ったな…」
二人ともハーフでくしゃくしゃの顔をしていて領主が奥さんに近付いて労っていて俺はロゼリアに近付くと彼女が気付いて俺に頭を預ける。
「良かったー…。泣かないからどうしようかと思った…」
「よく、頑張ったな」
俺は、ロゼリアの頭を優しく撫でて彼女はされるがままになっていて部屋からは癒しの術がすでにかけられていて赤ちゃん二人には治癒の術がかけられていた。
「…やっぱり…」
ロゼリアは、聖女の素質の術を生まれた時から持っていて俺と接した事で発動するようになった。
「聖人様、お世話係。助けて下さってありがとうございます!心からお礼を申し上げます」
領主が俺達二人にお礼を言うけど俺は何もしてなく頑張ったのはロゼリアなんだけども…。
「奥様と赤ちゃんが頑張ったんです!私は何もしてません」
領主の奥さんは一人を領主に抱っこさせてロゼリアにお礼を伝える。
「ロゼリア様、赤ちゃんを助けていただきありがとうございます…」
「頑張りましたね!おめでとうございます」
「奥様、おめでとうございます」
俺達二人で領主の奥さんにお祝いの言葉を伝える。
「あぁ、もうこんな時間ですね。昼食をご用意します」
「昼食は外で食べてきますのでお気遣いなく。まだ心配でしょから奥様の傍に付いていて下さい」
「ありがとうございます…聖人様」
領主は、奥さんの傍に寄り二人幸せそうに笑っていてロゼリアは、手を洗って俺の傍に来て俺達は領主の家を出た。
「お弁当は馬車の中にあるので持ってきます」
「僕も行きます」
ロゼリアと一緒に馬車に向かって扉を開けて弁当のバックを持ったロゼリアと街並みの反対を歩いていると領民達にすれ違って手を振り芝生を見つけて椅子があったので隣同士で座る。
「はい、ジュンさん。お味は保証しないですよ?」
「弁当なんて初めてだ。いただきます」
弁当箱をもらうと重みがありワクワクして蓋を開けると鮮やかな彩りでとても美味しそうで口に入れるとポカポカと温かくなる。
「…どうですか?」
恐る恐る聞いてくるロゼリアの顔を困らせたくて黙って食べ進めるけど箸が止まらない。
「ジュンさん…」
「あぁ、美味いよ」
食べ物の好みが似てるなんてビックリするし、俺の好きな味付けだけで濃くもなく薄くもなくちょうど良くてパンも美味しい。
「パンもロゼリアが焼いたのか?」
「はい。パンに合うおかずを選んだつもりですけども…美味しいですか?」
「ごちそうさまでした」
完食してしまって蓋を戻して空の弁当箱をロゼリアに渡すが、俺が喋らないから不安になっているのかしつこく聞いてくる。
「美味しかったですか?本当に美味しかったですか?」
「黙れ、うるせー」
黙らせようとロゼリアを抱き寄せて額に初めてキスをしたらビックリした顔したまま固まって徐々に顔が耳が赤くなってる。
「ジュ、ジュンさん!ここは外ですっ!」
「だから?」
俺を好きだと言った女にどこにキスをしようと関係ない。
「…人目のない所でキスして下さい!」
「なら、望み通り人目のない所でキスしてやるよ」
「えっ?あっー…遠慮しておきます」
ロゼリアは、ゆっくりと弁当を食べるからそれを隣で見る俺。
「外で食べるお弁当って美味しいですね!」
「食欲が満たされたなら次は性欲が満たされないと」
「ジュンさん!恥ずかしい言葉は外では控えて下さい!」
ロゼリアといると本当に退屈しないな。
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