第24話・領地視察中に…

今日は初めて聖人様と二人きりの訪問で領地を視察するからドキドキしてるけど昨日、聖人様に行く領地を教えてもらっていたから夜にその領地の復習をしていた。


「では、フランワさん、書類整理をお願いします」

「はー…い。分かりました…」

「行ってまいります」


先に聖人様が馬車に乗り込み続いて私が乗り込み扉が閉まると馬車がゆっくりと動き出して

ジュンさんが早々に言ってくる。


「ロゼリア、お昼に王宮戻るの面倒くさいからどこかのお店で食べるぞ」


そう言ったので私の隣に置いてあるバックを

ジュンさんに見せて提案する。


「ジュンさんが良いならお外で食べませんか?お弁当を作ってきたんです」

「!!」


久しぶりに作るお弁当の味は保証出来ないけどお外でジュンさんと二人で食べたい気持ちと昨日はきっと眠るの遅かったからいつもの時間に起こし行くのは気が引けたけどその代わりゆっくりして欲しい気持ちで厨房をお借りして作ったけど味見はしたから大丈夫だと思う。


「そのバック何だ?と思ったら弁当だったのか」

「はい。…ダメですか?」


やっぱり他人が作ったお弁当なんて食べれないよね?とお店でやっぱり食べましょ!って提案しようとしたらジュンさんから思いがけない嬉しい言葉をもらった。


「昼はロゼリアの弁当を食べよう」

「はい!」


お昼は私のお弁当に決まったと同時に今日行く領地に着き停車して先に馬車を降りると領民達が両サイドに居て、聖人様が馬車から降りると歓声が沸き起こる。


「バンザーイ!聖人様!」

「聖人様!ようこそお越しくださいました!」

「聖人様ー!ようこそー!」


聖人様は、手を振りながら奥で待ってる領主様の所に向かい、聖人様に紹介する。


「聖人様、領主のナリニーさんです」

「聖人様、領主のナリニーと申します。心よりご来訪をお待ちしておりました!よろしくお願いします」

「こちらこそよろしくお願いします」


領主様と聖人様はお互いに握手をした。

ここの領主様は、獣耳の犬族で耳も尻尾も黒くて艶艶つやつやしてここの領地に入った時ゆっくり入ったけど皆、馬車を見ると手を振っていて笑顔で応えてくれた。


「ここの領地の特徴は何ですか?」

「領民達が家族みたいな所ですね。皆、協力的でとても助かってます」


街を歩きながら領主様の言葉に耳を傾けながら手を振る聖人様。


「聖人様だー!」

「あっ!待ってっ」


小さい男の子が聖人様を見つけて走り出すけど母親は間に合わず男の子は地面の何かにつまずいて転んでしまった。


「!!」

「…っく、えぇーん。えーんっ」


大きい声で泣き出してしまって聖人様と慌ててその男の子に近寄り立たせて汚れちゃた部分を優しく振り払う。


「痛かったね。もう大丈夫よ」

「どこが痛いか教えてくれるかな?」

「…ヒック…ここと…ここと…ここ」


痛い所を涙を流して一生懸命教えてくれる姿に可愛さがまして聖人様と同時にクスッと笑った。


「今、治してあげるよ」


聖人様は、男の子が言った所を順番に手をかざしていき治していく。


「あれっ?もう痛くないっ??おかーさん」


男の子は不思議に思ったのかお母さんの所にまた走り出してお母さんを抱きしめる。


「聖人様、お世話係様。ありがとうございます!ありがとうございます!」

「治って良かったね」

「気をつけるんだよ!」


お母さんは、何度も何度も頭を下げお礼を言って男の子と手を繋いで人混みに消えて行ったのを立ち上がって見送る聖人様と私。


「聖人様、私からもお礼を言わせてください!領民を助けて下さってありがとうございます」

「当たり前の事をしただけです」


再び歩き出して街並みを見て行くと子供達が笑い合って走り回って楽しい声が聞こえてくる。


「賑やかで良いですね」

「子供たちは将来の大事な役割を持ってますので大事に皆で育てています」

「そうですか。ところで学校は何処にあるのですか?」

「ここの領地には建てれる場所が無かったので学校は隣の領地と共同です」


学校が隣の領地と共同でも子供達が伸び伸びと過ごせる環境が整っている領地はきっと栄えると思っていたら領民が領主様をめがけて慌てて走って来た。


「領主様ー!!」

「どうした?今は聖人様を案内してるー」

「領主様の奥様が産気づきました!」


領民が領主様の言葉を遮って伝えた言葉は衝撃的だった。

産気づいたって事は赤ちゃんが産まれるって事?


「ナリニーさん!急いで戻らないと!」

「あっ、はっ、はいっ」


アタフタして混乱してる領主様は聖人様に促されて家に慌てて戻るから私達も着いてくとベットに寝かされりきんでる妊婦さんがいた。


「お前…大丈夫だからな…」

「あなた…元気な赤ちゃん産むから出ていってくれるかしら?」


奥さんは人族で、痛いはずなのに領主様がオドオドと奥さんの手を握ったら真顔で言っていて吹き出しそうになった。


「ここから男性禁制ですので領主様も、聖人様も廊下に出てお待ち下さい!」


二人を部屋から締め出して妊婦さんに寄り添う。


「大丈夫ですからね」


無事に産まれてきますように…!








  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る