第22話・好きって言ったのは夢じゃなかった!

「お帰りなさいませ、聖人様」


昼食を取るために一旦王宮に戻ってきた聖人様とフランワさんだけど、私の挨拶に返事を返してくれない聖人様。


「聖人様、お疲れ様です」

「フランワさんもお疲れ様です。午後もお願いしますね」

「はい、聖人様」


聖人様がフランワさんに笑みを向ける光景を見て心が傷つき二人は午前中はきっと密着していたに違いない。


「ロゼリアさん。書類整理はどこまで終わったんですか?」

「あっ…、途中までです」


冷たい口調で言われて心が凍りつく。


「フランワさんは、先に昼食を食べていて下さい。ロゼリアさん、着いてきて下さい」

「はっ、はい…」


聖人様と書類部屋に向かい部屋に入り私が整理した書類に目を通す。


「綺麗に整理してますね。この調子で午後もお願いします」

「はい…」


聖人様は、整理した書類をテーブルに置いて私の顔を一切見ずに言って部屋の鍵をかけた。


「……?」


書類部屋の鍵をかける?んっ…待って?なんで?と思って聖人様に問いかける。


「…聖人様…?なんで鍵をかけたんですか?」

「邪魔されたくないからですよ」


ドキンッと高鳴り聖人様が私に近付きドキドキしてるとスッーと通り過ぎて椅子に座る。


「ロゼリアさん、何をしてるんですか?」

「えっ?あっ…」

「朝からボッーとして…ちゃんと仕事をして下さい」

「申し訳…ございません」


聖人様は、私の顔を一切見ずに書類に向き合う姿を見て涙が落ちそうになる。


「書類整理の続きを…します」

「えぇ、続きをして下さい。フランワさんより遥かに劣っているんですから」

「……っ」


キツイ言葉を吐き出されて胸がズキズキ痛み聖人様に本気で嫌われたと感じて制服を握りしめる。


「…なら…下さい…」

「?」


書類に目を通していた聖人様が訪問する時から私の顔を見てくれなかった聖人様が私の顔をやっと見てくれて涙が溢れ言いたい事をぶつける。


「私が…嫌いなら…辞めてほしいなら…聖人様から大司教様に申し出て下さい!」


こんな気持ちのまま聖人様に寄り添うなんて出来ないし、私はそんな器用な人間ではない。


「大司教様には申し出なんかしませんよ」

「…何でですか!…わ、私がフランワさんより遥かに劣っているのは自分でも分かってますし、このままだと聖人様の足を引っ張っちゃいます!」


言葉が溢れて止まらない私に同情したのか聖人様はペンを机に置き椅子から立ち上がって私に近付く。


「それなら俺がお前をイイ女にして引き連れる」

「……っ」


私の涙を拭ってくれてフッと笑う聖人様。


「お前は朝の件は誤解してるぞ」

「そんな事…信じられる理由わけない…」


聖人様の言葉だけど信じられないし、フランワさんとしたならしたって言えばいいのに…!と思っていたら聖人様は私の手を掴んでドキドキする場所に私の手をあてる。


「俺の身体は俺を“好き”だと言った女でしか勃たなくなったんだけど?」

「……っ」


聖人様のモノを制服の上からだけども初めて触ると硬くなってビクビク動いて生きてるみたいで…んっ?今なんて言ったの?って顔をして彼を見つめる。


「…好きだって言ったの…夢じゃなかったの?」

「夢にしたいならどうぞ?」


聖人様…ジュンさんの顔を見ると尻尾が私の足に絡んできてくすぐったい。


「どう責任とってくれるんだよ?」

「聖…ジュンさんっ…」


ジュンさんが制服の上から私の胸を揉むから私も負けじと彼のモノを擦ると更に大きくなった気がした。


「ロゼリア…」

「ジュンさん…」


お互いの名前を呼び顔がどちらともなく近付き目を閉じてジュンさんを受け入れようと思ったら扉がノックされてビックリした。


「!!」

「聖人様ー?昼食のお時間ですわ」


フランワさんがガチャガチャしてるけど鍵がかかってるから開くわけがなく、聖人様を呼びに来て慌てて彼から離れようとしたら抱きしめられる。


「ジュンさん…?」

「…チッ、先に食べてろって言ったのに…」


聖人様が舌打ちしちゃダメな気がするけど聞かなかった事にしよう。


「フランワさん!扉前に書類が散らばってるので鍵をかけてあります。先に食べていてくれますか?」

「えっー!聖人様も一緒じゃないと寂しいですぅ」


書類部屋でまさか私がジュンさんと抱きしめあってるなんて思いもよらないだろうなって思った。


「ロゼリア、不安ならそうやってぶつけてくれると分かりやすい」

「…嫌われたかと思ったから…」


ジュンさんはもっと強く抱きしめてくれて荒んでいた心に灯火ともしびともる。


「お前はもっと俺を知るべきだな」

「ジュンさん…分かりづらいんだもん…」


そう文句を言うと頬をムギュッとされてきっと変な顔になってる気がする。


「僕を知ろうとしない罰ですよ?」

「ごめんなさいっ〜〜」


ジュンさんが私の変顔見て笑うから嬉しくなる。


「でも、本当にフランワさんと…痛っ」

「まだ疑ってるのか?このお子ちゃまは」


今度は鼻をつままれて引っ張られる。


「不安だらけなんだもん」

「不安ならすぐに俺にぶつけていいぞ」


ジュンさんの前では素直になれる自分でありたいな。

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