第19話・完璧な私〜フランワ目線〜
「ジュン=コリカサンです」
「……!!」
初めて見た時に彼を紹介されて私の胸は高鳴る。
「フランワ=イルナよ」
珍しい獣耳の虎族の男を侯爵家で宰相の娘として生まれた完璧な私の元に訪れた好機。
「お父様、コリカサン家の令息とご友人になりましたわ」
お父様にも喜ばれてそして好機をどうしても逃したくなく栄誉ある私の婚約者にしてステータスをあげたくてお父様の力を借りて侯爵同士家の繋がりも作って婚約者の地位を手に入れる事が出来て私のステータスは一気にあがった。
「ジュン、また本を読んでるの?」
「これが面白いんだよ。フランワも読むか?」
「私はパス。そんな事より…」
洗練された使用人の振る舞いに私の家より一回り大きな家に何度かお邪魔すると彼は必ず休みの時は本を読んでいて寄り添い膝上の上に座り本を読むのを止めさせ私を見るように促してるのに全然見てくれないつまらない私の婚約者。
「ねぇ、ジュン…」
「フランワ…何度も言ってるが本にシワがつくから読んでる時はやめろ」
私より本が大事なんて変わっていてステータスがある男を婚約者にしたのに触れても勃たないなんて…私の身体を自由に出来るのにもったいない男ねと蔑んであげてジュンから離れる。
「そういえば私、“お友達”と用事があって遊びに行ってくるわ」
「…“お友達”ね…。行ってこいよ」
ジュン以外にもたくさん“お友達”がいる私は、本を読んでるジュンを置いて出かける。
「それで、婚約者を置いて来ちゃったのー?」
「あんっ、そうよ…もっと…」
“お友達”に抱かれる綺麗な私は、乱れる。
「もっと…そこっ、気持ちいいの…あんっ」
「こんな姿見られたらまずいんじゃないのー?」
私の胸を貪り中に侵入する熱くて硬いモノが絶頂に導いてくれる。
「別に…いいのよっ。ああんっ、…私を抱かない男なんて…」
友人でも婚約者になっても完璧な私を抱かないバカな男。
「ひゃう…気持ちいいの…もっと突いてぇ」
「淫乱な女だね」
「気持ちいいから…いいでしょ?…ああんっ」
お友達に抱かれて私は美しくなる。
「フランワ、婚約破棄しよう」
「えぇ、良いわよ。婚約破棄しましょ」
珍しく誘うから来てあげたのにそんな話の為に私を呼び出すなんて本当につまらない男なのにステータスは少し完璧なのよね。
「
「それは無理な話よ。だって家の繋がりはあるもの」
無事円満に婚約破棄出来て独り身になった私はお友達と遊び歩いていた時に聖人の話しをお父様から聞いた。
「聖人が誕生してそれが…男で、珍しい獣耳の虎族…?」
そんなの一人しか思いつかない。
この国で虎族なんて私の知ってる人物はジュンしか思いつかないからお父様に頼んで教会に大金を寄付させて聖人のお世話係に入り込めた。
〔ジュン!ありがとう!愛してるわ〕
〔僕は愛してません。ただのお世話係としてしか見てませんから〕
そんな言葉に変換して私を拒否してるなんて本当に恥ずかしがり屋さんね…ジュンは。
「ジュン…聖人様。昼食をー」
ノックせずに扉を少しだけ開けて室内を見たらジュンとお子ちゃまが抱きしめ合っていた。
「ジュンさん、フランワさんが戻って来ますから離して下さい…」
「フランワ嬢に見られても俺は構わない」
「私が困りますっ……」
お子ちゃまに
私を抱きしめた事もなかったのにお子ちゃまを抱きしめて…それだけ貴方は心を許してるって事に信じられなくて扉を勢いよく開けた。
「聖人様ー!昼食をお持ちしましたわ」
「!!」
こんなお子ちゃまに私が負けるわけないのよと睨みつけるけどそれに気付かずに慌てふためいてジュンから離れるお子ちゃま。
「フランワさん、早かったですね」
「えぇ。聖人様に温かい物を食べて欲しくて早く持ってきましたわ」
テーブルにジュンの昼食を並べて自分のも並べてお子ちゃまのも並べるけどわざと一つ持ってくるのを忘れた。
「あらっ、やだっ。私ったらロゼリアさんの主食を持ってくるの忘れちゃいましたわ…」
「あっ、大丈夫です!取ってきますから」
「そうですか?ごめんなさいねぇ」
お子ちゃまは、部屋から出て行きジュンと二人きり。
「聖人様…二人きりってあの廊下以来ですね」
「なんの事でしょうか。覚えてませんね」
ふふっ…ジュンってば変わってなくて私のステータスに絶対に必要な男ね。
「私達…元に戻れるわよね?」
「長い休みの時に“お友達”に慰めてもらってはいかがですか?」
私に向かって冷たく微笑むジュンにゾクゾクする。
「そんな意地悪言わないでちょうだい。私は貴方に慰めてもらいたいの」
手を伸ばしてジュンの手に触れようとしたら避けられ無言で椅子から立ち上がり扉の方に向かう。
「聖人様…?」
「ロゼリアさんが遅いので見てきます。フランワさんは先に食べていていいですよ」
そう言って部屋から出て行った。
完璧な私を拒否するなんてジュンったら恥ずかしがり屋さんね!
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