第16話・ロゼリア、告白する
休みなので布団の中でゴロゴロして満喫して昼食を食べてラッカ宛に手紙を書こうとペンを走らせる。
「なにから書こうかしら?」
考えるといっぱい書く事がありいっぱいラッカに聞いてほしい事があり過ぎて書ききれないから便箋6枚に留め封をして使用人に出してもらうと部屋を出て探していたら廊下で男女の声が聞こえてきて見つからないように覗いたらフランワさんと聖人様だった。
「あの二人…何をしてるんだろう…?」
会話は途中からで最初から聞いてなかったけど何となくなんだけど聖人様が苛立ってる気がするし、聖人様!先見の術を無事に取得されたんだなって思って嬉しくなっていたらフランワさんの言葉に胸が痛んだ。
「ジュン!ありがとう!愛してるわ」
「!!」
聖人様を呼び捨てにして愛の言葉を囁いてるフランワさんのその言葉だけを聞き取ってその場を慌てて離れて自分の部屋まで戻って扉に背を預けて座り込む。
「聖人様とフランワさんは…恋人同士なの?」
そう呟くと涙が溢れてきて止まらないし、胸がズキズキと痛み出して私の頭の中にはグルグルと聖人様が笑ってる姿、聖人様とエッチな事をした姿…などなどが思い出されてきてこの痛みの正体がやっと分かった。
「…私…聖人様が…好きなんだ…」
好きという言葉を口に出すだけで顔が熱くなり自覚した途端に恥ずかしくなる。
「フランワさんは…凄いなー…」
フランワさんは聖人様に素直に自分の気持ちを伝えていた事に自分の意気地無しに情けなくなる。
「この気持ちは知られないようにしておこう。明日もいつも通りに聖人様に接して行くぞ!」
そう誓ったはずなのに…。
「ロゼリアさん」
「あっ!フランワさん、ここは任せていいですか?」
「えぇ、もちろんよ」
次の日、聖人様に呼ばれるけど顔が直視出来なくて好きって自覚した途端にキラキラ眩しく見えていて話すなんて無理っ!なので、慌ててフランワさんを呼んで私は別の仕事をこなし、その日は聖人様と一言も喋らなかった。もちろん聖人様を起こしに行ったのはフランワさん。
「ロゼ…」
「大司教様、おはようございます!」
「ロゼリア嬢、おはようございます」
次の日も聖人様を起こしに行ったのはフランワさんで、彼に廊下で呼び止められそうになり丁度いいところに大司教様がたまたま通りかかったからご挨拶をして他愛もない会話をして一言も喋らず終わった。
「ロゼリ…」
「フランワさん、私は向こうにいますので聖人様をよろしくお願いしますね」
その次の日も起こしに行ったのはフランワさんで聖人様に名前を呼ばれるけどフランワさんに任せて私は別の場所に向かいこの日も一言も喋らず終わった。
「はぁぁぁぁっーーー」
自分の部屋で大きいため息をつく。
三日も彼を避けても夜は私の部屋に訪れる事はなくて安心したるけど明日も避けたら彼はどんな態度をとるのだろうと思いつつベットに入ろうとした時に扉がノック無しに開きドキドキが別の意味で高鳴る。
「…聖人様。何か用でしょうか?」
問いかけながら聖人様の方を見れずに目が泳ぐ。
「僕に何を隠してるんですか?」
「聖人様に隠してる事なんてないですよ…」
聖人様が私に近付いて抱きしめようとするから避けた。
「ロゼリア?」
「ダメですよ?フランワさんって言う
聖人様がフッて笑って私に問いかける。
「じゃあ、なんでお前は泣いてる?」
「えっ?」
聖人様に指摘されて自分の頬を触ったら冷たく涙が溢れていて自分でもビックリ。
「お前は俺が好きなんだよ」
「……っ」
聖人様に自分の気持ちを見透かされていて涙が止まらない。
言ってもいいの?
自分の素直な気持ちを伝えていいの?
「…好き!ジュンさんが好き」
ジュンさんにそう伝えたら笑って両手を広げてくれるから彼の腕の中に自分から飛び込むと抱きしめてくれた。
「やっと言ったな。ロゼリア」
ジュンさんは私のおでこにキスをする。
「ジュンさんっ!!」
初めてジュンさんからのおでこにキスされてビックリしていたら私の頬を撫でる。
「フランワとの会話を聞いていたんだな?」
そう聞いてきたから黙って頷いた。
フランワさんを呼び捨てにするって事はやっぱり恋人同士?と不安がっていたらジュンさんが私をお姫様抱っこして歩く。
「ジュンさんっ!」
「ロゼリア、ベットに座るぞ」
そう言ってベットに座り私は初めてジュンさんの膝上に座る。
ジュンさんさっきから砕けた言葉遣いだけど心を許してくれてるの?
「ロゼリア?」
「ジュンさんのもっと近くにいきたい」
ジュンさんの首に手を回して抱きしめる。
もっとジュンさんが癒やされるように癒やしてあげたい。
「そんな事言ったら抱きしめるだけじゃ足りないですよ?」
「私も足りないですよ?」
明日も訪問があるから遅刻は出来ない。
「今日はくっついて眠りましょうか」
「はい」
ジュンさんと一緒に眠れる事が私の喜びであるように彼にも喜んでほしいな。
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