第15話・気にかけてる〜ジュン目線〜

孤児院訪問時の癒しの術はロゼリアが無意識に発動したもので本人は全く気付いてないし、もし気付いてもきっとあの性格なら黙ってる気がする。


「聖人様、その調子です」


俺は大司教が作った結界術の中で座って“先見の術”を生み出し中。


「日に日に聖人様の術が強くなっていきますね」

「…ありがとうございます」


昨日、ロゼリアが誘ってくれた理由わけではないけどわざと勘違いして誘ってくれたと捉え部屋に入り布団に潜り込んで彼女を抱きしめてそのまま寝落ちしたけどあんなぐっすりと他人と寝れたのは初めての事で自分でも驚いた。


「その調子です。聖人様」


今日の朝は、もっとロゼリアに触れたくて抱きしめようと思っていた所に彼女は寝惚けて手を伸ばしてきたから再び抱きしめもっと奥に包まれたくなりついあの時の続きをした。


「おめでとうございます、聖人様」


大司教達が頭を下げ説明する。


「先見の術は、聖人様が念じると発動しますが癒しの術、治癒の術より体力消耗が激しくなり最悪の場合、命を落とす事になりますのでお気をつけ下さい」

「分かりました。気をつけます」


これで、聖人が獲得する術…三つが揃った。


「怒涛の毎日だな…」


お昼過ぎまでかかったから昼食は自分の部屋で食べる事にしてもらい肩を回し廊下を歩いていると壁に寄りかかったフランワに出会でくわしたから聞きたい事があったから聞いた。


「…あの日を見られたらしいな…」

「えぇ。お子ちゃまに大人の事情を知ってもらおうと思ったのよ。だからあの時間を狙ったのよ」


誰かいると思って目を覚ましたらフランワが下着姿で座っていて嫌悪感が出たし、すぐに離れた。


「僕の部屋に入らないでいただきたいですね」

「ジュン!私が間違っていたの!」


フランワは、俺の前を塞ぎ自分の胸に手を当てて悲痛な女を演じるように見せかける。


「何が間違っていたのか分かりませんね」


この女は英雄の俺が隣に歩くだけで自分が輝けると思ってる。


「ジュン!貴方を失いたくないの…!」


悲痛な叫びを言ってるつもりだと思うけど俺の心には全然響かないし、俺の服を握りしめていて気持ち悪い。


「離してくれますか?」

「嫌よ!ジュンが許してくれるまでこのままでいるわ!」


この女を一時いっときでも愛した俺がバカだったし、信じた俺が間抜けだった。


「僕のお世話係として頑張って下さい」

「ジュン…それは許してくれるの…?」


許すもなにも俺はアンタに期待してないし、この先も期待する事はない!


「ジュン!ありがとう!愛してるわ」


薄っぺらい言葉がポンポン出てくるな。

この女の場合は誰にでも言ってるんだろう。


「僕は愛してません。ただのお世話係としてしか見てませんから」


そう言い放ってフランワから離れた。

俺の許可した奴だけ部屋に出入り出来る術を大司教にかけてもらうかなと考えながら歩いていて自分の部屋に着いて開けて入ると落ち着く。


「疲れたー…」


ドカッと椅子に座り天井を見つめ目を瞑ると朝の光景が思い出される。


〔俺だけの指を感じて。俺だけの声を感じて〕


彼女に囁いたら素直に受け取って軽くイッて気を失ったロゼリア。


「あのキツキツの中に挿入はいって揺さぶりたい…」


考えるだけで大きくなる。

ロゼリアを気にかけてる事だけは自覚してる。

孤児を躊躇なく抱きしめて癒しの術を発動させて俺を労る為に治癒術を無意識にかけて…。


「…会いたいし、あの柔肌に触れたい」


言葉に出すほど存在が大きくなってるけど俺はこの時、ロゼリアが廊下にいてフランワとの会話を聞かれていたなんて思いもよらなかった。


「とりあえず遅めの昼食を食べるか…」


テーブルに再度、温めてくれたのであろう昼食が並んでいて美味しそうに見えたけど何だか食べる気にはなれないけど無理矢理口に運ぶ事にする。


「あの時と浴室の件は収まったけどフランワがいるなら問題発生しそうだなー…」


あの時、下着姿でいたフランワの匂いはプンプンしていたけど一瞬、ほんの一瞬だけロゼリアの匂いがしたけどすぐにかき消されたからいないもんだと思っていた俺の失態。


「フランワをどうするかなー…」


あの女は一筋縄ではいかない事は身も持って分かってるけど、純粋なロゼリアなら騙されるだろうし…その分フォローしていくけど彼女じゃなかったらほっといている。


「ロゼリアに会いたくなったなー…」


考えていたら再び会いたくなったけどきっと休みだからゴロゴロしてそうだなって思ったら自然と笑えた。


「昼食を食べてゆっくり読書でもするか…」


昼食を口に運び全て食べて終わりグッドタイミングで使用人が訪ねてきてお皿を片付けてる間に椅子から立ち上がり本を手に取り再び座って本を読み始める。


「こんなゆっくりしたのはいつ以来だ…?」


いつも忙しく働いていて空なんて見上げれなかったのに視線を外に映すと空は天気がよく雲一つない空だった。


「カールトに手紙でも出すかな…」


本を読みながら俺への重要な書類が来てるかどうか確かめてもみたかったけどまた今度にしようと思った。



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