第13話・ロゼリアとジュンの話し合い
「聖人様、お疲れ様でした」
王宮に着き、聖人様の部屋で大司教様達が出迎えた。
「孤児院と病院での癒し術に加えて、病院での治癒術素晴らしいものでした」
聖人様は本当に素晴らしい人なのに、朝のあんな光景と昨日の浴室の件を見なかったらだけどね!
「フランワ嬢は、病院での説明完璧でしたね」
「ありがとうございます、大司教様」
本当に完璧だった。そこの領地の領主様まで紹介して私にはとても真似出来ないな…。
「ロゼリア嬢…孤児を抱きしめる姿は女神様に見えましたよ。素晴らしかったです」
「ありがとうございます。大司教様」
あの孤児院の皆が幸せになってくれる事を願うだけ。
「明日は聖人様に“先見の術”を授けますので、ロゼリア嬢とフランワ嬢はお休みして下さい」
大司教様に言われて明日、ゆっくり出来ると思いウキウキして聞いてみた。
「家に帰ってはダメですよね?」
「長い休みの時の帰省は良いですよ」
長い休みの時?そんな時があるんだと思い残念って思って会えないならラッカに手紙を書こうと思った。
「聖人様、お待ちしておりますわ」
「お待ちしております」
フランワさんが聖人様に伝えるから私も伝えたら彼女に一瞬だけ睨まれたけど何で睨まれたか分からなかった。
「んっー…」
夜も更けてゆっくりと背伸びをしてから本を読んでいてそろそろ寝ようとしたら扉が開いてビックリした。
「!!」
「何をビックリしてる?」
立っていたのは寝間着の聖人様でなんでこんな夜更けに?と思いながらもベットから下りて近付く。
「聖人様。こんな夜更けに何か用でしょうか?」
「お待ちしております…って言ったから来たんですよ」
「!?」
それって夜は部屋に訪れて良いですよってそういう意味だったのに驚き、私はてっきり明日無事に術を授かれて聖人様が生還出来ますようにって意味だと思って言ったのだけども…だからフランワさんに睨まれたんだ…と思った。
「ロゼリア、早くしろよ」
「!!」
いつの間にか聖人様がベットに潜り込んでいて布団を開けて待ってる。
「わ、私は…ソファーで寝ますから
「…ロゼリア。今は二人きりですよ?なんて呼ぶ決まりでしたっけ?」
二人きり…聖人様ではなく
「罰として寝る場所はソファーではなくベットですね」
心臓がバクバクしながらベットに向かいギシッと音がしてビビりながらジュンさんの隣に入ると布団をかけてくれて彼は仰向けに寝っ転がっていて私は彼の方を向いて寝っ転がると彼の腕が私の上に乗る。
「ジュ、ジュンさん…重いのですけど…?」
「逃げないように固定ですね。訪問時僕から逃げましたからね」
「そっ、それは……」
朝のあんなのを見たら誰だって逃げたくなるしどう見ても事後でしょ?それに、浴室の件だって解決してないし…。
「それは…なんですか?」
「…フランワさんを抱いた手に触りたくなかったんです!」
ジュンさんに自分の気持ちを吐き出したのが良かったのか、つかかっていたモノがポロッと取れた気がした。
「抱いた?フランワ嬢を?」
キョトンとした声をしているから自分でどうしていいか分からないこの感情を伝えたくて起き上がってジュンさんの顔を見て朝の出来事と浴室の件を言う。
「朝、起こしに行ったらフランワさんが…下着姿で居たんです!どう見ても事後でしょ?」
上手くまとめられているか分からないけど自分の気持ちありのままをジュンさんに吐き出す。
「それに…昨日の浴室だって二人で順番に出て来て…!」
「…それで?」
「私の所じゃなくてフランワさんの所に行けば良かったんですよ!」
涙が溢れそうになるけど絶対に泣かないって決めたのにジュンさんは笑って私の頬を触ろうとするから避けたら私の腕を掴んで引っ張られて彼の腕の中に入る。
「いやっ…って…!ジュ…」
「はいはい。とりあえずお前に言いたい事はある」
「何をですかっ!」
「なんで俺が何故フランワ嬢を抱かないといけねぇんだよ」
「…抱いてないの…?」
ジュンさんは呆れた声を出して私の頭を撫でる。
「浴室にフランワ嬢が入って来たのは本当の事だから言い訳はしねぇよ」
「だったら…フランワさんの所に…行けば良いじゃん!」
私をあやすようにポンポンと背中を優しく叩くジュンさんの態度に視界が
「フランワ嬢も言っていたけど俺が来たかったのはロゼリアの所だしそれに…」
言葉を切ったジュンさんに次の言葉が欲しくなる。
「それになんですかっ!」
「フランワ嬢と浴室でヤッていたら足りなくて今頃ココにいねぇよ」
「……っ」
「俺の言葉が信じられない?」
声を出したら瞼を閉じたら涙が溢れそうで無言で首を振りジュンさんの温かさを感じる。
「ロゼリアは子供だから体温が温かいですね」
「…子供じゃありません!」
ジュンさんの胸の上で頭を預けて私を抱きしめる腕の中は心地良くて離して欲しくない。
「ジュンさん…疑ってごめんなさい…」
フランワさんとなにも無くて良かった。
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