第16話
だって、ずっと影を歩いていた自分を蔑んでいた妹が私を羨ましく思っていたなんて。その嫉妬心故に、私は犯されようとしたなんて、馬鹿げてる。それを何とも思っていない彼女に悪寒がした。
『ごめんね、お姉ちゃん。私のために、これからも穢されて?』
―――…その日から、私はずっとコンプレックスを抱え続けてる。
「……最近は少なくなってはきたけど」
そろそろ参っていた。あれから、二、三度同じようなことがあって、一度目は近くを通っていた卍に助けられ、二度目は自力で逃げた。三度目は数人がかりだったのでもうダメだと思ったのだが、運良く夜遅くに通行人がいたために助けられた。
あの時、助けてくれた男性の顔は忘れてしまったが、『女がこんな夜中に歩くもんじゃねえ』と説教され、家まで送ってくれた紳士だった。
それなのにどうしても空気の悪い家に帰りたくなくて、学習せず夜に歩いているのは危機感がないと思われるだろう。でもそれよりも家にいることの方が苦痛なのだ。……妹が仕向けてくる男共なら、返り討ちにしてやる。
はあ、と息を吐くと一番近い街灯が消えかかっていることに気づく。何だか怖くなって、早歩きで家路につこうと歩き始めたその時。
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