第5話
屋台のおやじは、深蒸しせん茶とお茶請けの種無し梅干しをのせた小皿をハリスの前に置いた。
湯呑みから香ばしい香りが立ち上り、ハリスは目深に被っていたフードを額までずり上げる。
はらりと落ちた前髪が焦げ茶色の瞳にかかり、一部が緩やかにカーブを描いて鼻先を掠めた。
見た目は二十代半ば、痩せ型で中背。
不健康な肌に、凡庸な顔立ち。
手入れをしていないボサボサの黒髪が両側の耳元から胸元まで伸びている。
ハリスは湯呑みを持ち茶を啜る。
その味に口元を緩ませたハリスは種無し梅干しを口に含んだ。
酸っぱさの中に甘みと塩気が絶妙で後を引く旨さだ。
ハリスを視界の端に入れながら、屋台のおやじは鼻歌交じりで塩にぎりをべとんべとんと握る。
「へい!おまち!」
屋台のおやじから差し出された塩にぎりはソフトボール並の大きさで、ハリスはそれをむんずと掴むと、むしゃむしゃと食べ始めた。
屋台のおやじが手についた米粒を手拭いで拭った。
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