第3話

鼻から息を吐き出したハリスは鈍い思考を働かせる。


そして、また一歩、一歩と足を動かした。





雲が棚引く空の下、昭和を彷彿とさせる木製の屋台が、だだっ広い砂床さしょうに一台止まっていた。


その傍らには虹色のビーチパラソルを差したテーブルがあり、レトロな水色のビーチチェアに横たわった屋台のおやじが、優雅にトロピカルジュースを飲んでいた。



その風貌はアオガエル。



二足歩行のアオガエルで大きさは三歳児だ。


青い半被はっぴを着て頭にはねじり鉢巻を載せている。



「おやじー!!おにぎり二つ!!具は鮭とおかかー!!」

「俺もー!!」



至福の時を邪魔する生意気な若者達の声に、屋台のおやじは頭に青筋を浮かべて屋台に顔を出した。



「お前等に食わせる握り飯はねええー!!」

「んだと!この蛙がー!!」

「なにぉおお~!!」



がすっ!


これから盛り上がりをみせようかといった所で、大鎌の刃先が屋台の屋根を貫通した。


それはにぎっ亭と書かれた暖簾を突き破り若者達の横でぶらぶら揺れる。

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